みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。
今回は、「踊れること」と「教えられること」のあいだにある線 というテーマで、バレエ界にある矛盾と、バレエ安全指導者資格®︎が求めるプロの定義についてお話ししたいと思います。
私たちは、バレエの世界で「踊れる人」を尊敬し、「踊れなくなった人」をどこかで惜しみながら見ています。
けれども、指導者という立場においては、踊れるかどうかは本質ではありません。
本当に問われるべきは、安全に、責任をもって教えられるかどうかです。
それが、プロフェッショナルの定義です。
ダンサーの世界では、「上手い」「すごい」「美しい」という評価軸が支配しています。
それは舞台芸術の世界として当然のことです。
しかし、指導の現場は舞台ではありません。
そこでは、ひとりひとりの生徒の身体と心、未来を預かっています。
誤った指導は、たとえ無意識でも怪我や挫折を生み出す。
だからこそ指導者は、安全を前提に教育を設計できる力を持たなければなりません。
安全とは、単に怪我をしないということではありません。
無理のない成長、理解のある支援、心身の調和を保つ環境、それらすべてを含む「学びの安心」です。
この安心を意図的に設計できる人こそが、教育者であり、プロ指導者です。
「踊れなくなったから教える」ではなく、
「教えるために学び直す」という姿勢こそが、プロへの第一歩です。
どれだけ経験があっても、知識がなければ感覚は伝わらず、善意も危険に変わります。
だからこそ、指導者が改めて教育学・解剖学・心理学・倫理を学び、体系的に整理しておくことが欠かせません。
それは自分を守るためでもあり、生徒を守るためでもあります。
SNSなどの発信から生徒、特に子どもたちを守るためのリテラシーを持つことは、
これからの時代の先生にとって欠かせないスキルのひとつです。
先生自身の自己承認やビジネスの成功のために子どもたちを利用するのではなく、
常に子どもたちの立場と未来に寄り添い、彼女、彼らの安全と尊厳を守る存在であること。
その姿勢こそが、教育者としての信頼と真のプロフェッショナリズムを築く基盤になります。
本来、「プロ」とは“お金をもらっている人”のことではありません。
語源の “professio” は、「公に誓う」という意味です。
つまりプロとは、自らの知識と責任を社会に対して宣言する人のこと。
安全を守るという原則を、常に意識し続けることが、
プロとしての最も基本的な姿勢なのです。
舞台の上では「危うさ」が美に変わることもあります。
けれど、教育の現場では「危うさ」は美ではありません。
それは守るべき未来への脅威です。
だからこそ、プロ指導者にとっての美とは、安全の上に築かれる信頼であり、
その信頼があるからこそ、生徒は安心して羽ばたくことができるのです。
踊れることは素晴らしい。
けれど、それ以上に大切なのは、
踊れる人も、踊れない人も、安全に踊れる環境をつくること。
それが、指導者としての“プロフェッション”であり、
すべてのバレエ教育が目指すべき本当の美しさです。
バレエ安全指導者資格®︎ 事務局
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