バレエ安全指導者資格®は先生方が伝えたいバレエの形やそれぞれが学ばれてきたバレエメソッドを尊重しながら、安全に指導することに重点を置いた資格です。
本資格ではじめて身体や心について学ばれる先生方も多くいらっしゃるかと思いますが、医師やスポーツ栄養士、公認心理師などの国家資格をお持ちの先生方から直接身体や心について学べることは特に貴重な体験となるでしょう。
また本資格では座学で知識を詰め込むだけで終わらないよう実際の指導で活かせる身体の使い方やエクササイズ方法を個性豊かで確かなキャリアのある先生方から学んでいきます。
さらにバレエの元となり、バレエのポジションが生まれたバロックダンスから、チェケッティメソッド、ワガノワメソッド、フランスのバレエ指導についてなどの各種メソッドやバレエの歴史について各スペシャリストの先生方より学んでいきます。
世界の危機的状況の中でも失われることなく時代と共に変化し残り続けているバレエの生命力と、バレエに魅了され、私たちにまで届けてくださった先人の偉業に目を向け、それを受け継ぎ、発展させる者として自覚ある指導者の育成にも務めます。
先生ご自身が自信を持って現場に立つことはもちろんのこと、その現場において生徒や保護者の方々、地域の皆様からも信頼され安心して身体を預けていただける頼もしい存在となること。
それが、バレエ安全指導者資格®が目指す教師の姿です。
学ぶことで生徒を気遣える教師になる
【学ぶ】ことの目的とは、”誰々よりも賢くなる”ことなどの優劣ではなく、それまでの自分の経験や体験では想像もつかなかった事実や現実を知り、自分とは個性の違う相手のことを気遣える幅を広げることだと思います。
例えば【栄養学】を学べば、成長期特有の身体の仕組みを学ぶことで『痩せなさい』というような言葉を子供達には発することはなくなるでしょう。
【心理学】で学ぶメンタルヘルス、発達心理学、教育心理学、ハラスメント、コーチングの講義を通して、子ども達との接し方はもちろん、指導者の方自身の精神的健康とこれからの生き方を考えるきっかけを得ることも出来ます。
【女性アスリートの三主徴】という言葉を聞いたことはありますか?特に女性が活躍するバレエ業界において、女性の身体について学ぶことは必須です。整形外科学、婦人科学、栄養学の3つの講義からそれぞれにこのテーマについて何が問題で、どのように気をつけ、生徒を導いていけば良いか立体的に学んでいきます。
新体操やフィギュアスケートなどと同様に、ハードな運動を要求される上に見た目も評価の基準となりがちなバレエの世界では、無月経、骨粗鬆症、摂食障害など、その方の人生を大きく左右する問題であるにも関わらず、話をしづらい、相談出来る相手がいないことでまた症状の悪化に繋がる状況も少なくありません。
また、人生100年と呼ばれる時代にあって、成長期という人生の最初のこの時期の栄養は、その後の80年の健康寿命にも関わる大きな問題です。
既に解き明かされている事実を学ぶことで、生徒さん一人一人が抱えている問題に対して対応できるようにもなり、今現在生徒指導において不安を感じている先生方のお悩みの解消にも繋がっていくことでしょう。
そしてバレエの世界では指導中に生徒さんの身体に触れることも多いですが、医学の世界では医療資格のない人に自分の身体を触らせないことが常識です。
バレエは幼少期から始める方、シニアになってから始める方と年齢の幅も広く、それぞれの年齢の特性を知った上で指導をする必要もあります。
子どもは小さな大人ではありませんし、大人は子どものようには動けません。
バレエ人口は増えているにもかかわらず、各年齢や身体条件を考慮して指導出来るプロの指導者の養成は全く行われていません。(解決すべき課題として本資格では真剣に取り上げています)
【替えの効かない身体を預ける】という意味では、どのような先生に習うのが安心出来るか想像に難くありません。
バレエの歴史に加え、バレエメソッドや指導の歴史を学ぶ
日本で最も有名なバレエメソッドはワガノワメソッドではないでしょうか?
またRADの資格を取得されている先生も多くいらっしゃると思います。
国内で取得出来る国際的なバレエ教師資格は限られているため、バレエメソッドについてはもちろん、バレエの教師資格の中身について知る機会もなかなかありません。
本資格では参加される受講生お一人お一人のルーツにも繋がるバレエメソッドに触れながら、バレエの元となるバロックダンスをはじめ、フランスのバレエやチェケッティメソッド、ワガノワメソッドについてもその歴史を学びながら実際に体験する時間も用意しています。
バレエの伝統を守る。
そのような言葉を見聞きすることもたくさんありますが、実際にその伝統がどこで生まれたのか、またその伝統はどのように枝葉が分かれ、現在に繋がっていくかについて学んでいきます。
本資格は安全指導のプロフェッショナルを育てる資格ですが、バレエを伝える責任ある仕事としてバレエの歴史について正確に学んでいくことも大切にしています。
バレエの先生が時代の変化に取り残されないために
この資格のもう一つの特徴は身体的な知識だけでなく心理学や社会的背景についても学び、総合的に「指導するとはどういうことか」を考え、学んでいくことです。
バレエの世界、芸術の世界も海外の状況を見ると確実に変化が起きています。
特にハラスメントに関しては教育やスポーツの世界では度々クローズアップされますが、日々新しい法律やルールも生まれています。
『これはバレエの指導だから、芸術だから』と言って許される世界ではもう既にないのです。
このあたりは心理学と法律学の講義でも詳しく学んでいきますが、スタジオを長く健全に運営していくためには今の時代の流れをしっかりと掴んでおくことがとても重要になっていきます。
バレエの世界がより社会的にも受け入れられ、認められるためには劇場で踊るダンサー達だけでなく、各地域でお教室を開き、バレエを直接地域で広められている先生方のご協力なくしてはあり得ません。
世界の状況が刻々と変わっていく中で、これまでの常識が明日には全く変わることもある。
それらの変化に対応し、日々アップデートしていかなくてはならない。
これはプロの指導者であれば当然のことだと思います。
だからこそ伝統、歴史を伝えると同時に、今生きているこの時代のことを学ぶ必要性もあるわけです。
バレエから学べることはバレエのテクニックだけではないこと。
バレエを通じて社会と、そして世界と繋がることも出来ること。
ぜひ一緒にバレエの可能性についても学び合っていきましょう。
バレエの先生が健康であることが生徒にとっても大切なこと
バレエの先生方ひとりひとりが理想とするバレエの形は全く同じものではないでしょう。
けれど、バレエに対する愛情は皆同じだけ強くあるのではないかと思います。
本資格はバレエの先生が生徒の方に対して安全にバレエを伝えるために沢山の学びを得る場ですが、バレエの先生方がこれからもずっと現場に立ち、愛する生徒の方々との時間を育んでいくためにもぜひご自身の健康と安全についてもこの資格で学んでいく中で考えて頂けたら嬉しいです。
最後に、本資格がバレエを愛する人達にとってゆるやかで穏やかに支え合い励まし合えるコミュニティとなることを心から願っています。
お教室に通われる生徒の皆さん、そしてバレエを指導される先生方の健康が守られ、より良い環境のもとバレエと関わり心身が豊かに生きていける世界を目指して。
バレエ安全指導者資格