みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。

今回は、『エクササイズサイエンス ― 感覚を理論で裏づける 知のトレーニング』というテーマで、講座で学ぶ意味をお話したいと思います。

これまでに解剖学、整形外科学、そして動作分析、機能解剖とご紹介してきましたが、エクササイズサイエンスもバレエにはとても重要な学びとなります。

バレエは芸術でありながら、同時に極めて高い身体的負荷を伴う“運動”でもあります。
舞台の上で一瞬の美を生み出すために、ダンサーの身体は繊細な感性と緻密な筋肉コントロールを必要としています。
その一方で、身体の構造や力の原理を知らずに動けば、知らぬ間に怪我を繰り返すリスクを抱えることになります。
バレエ安全指導者資格®︎では、パーソナルトレーナー資格にも準拠した「運動と身体の反応」について、専門的かつ実践的に学びます。

エクササイズサイエンスとは、筋肉・関節・神経・呼吸・エネルギー代謝など、
“身体がどのように動き、どのように回復し、どのように強化されるか”を科学的に理解する学問です。

たとえば、筋肉を酷使すれば、一時的に損傷が起こり、その後の修復過程で強化される。
この「超回復」の仕組みを知らなければ、レッスンやトレーニングの計画は感覚に頼ったものになり、
結果として疲労が蓄積し、パフォーマンスが落ちるばかりか、怪我の原因にもつながります。
そして、身体の理論を知ることで、怪我をしないだけでなく、
舞台の日に最高のパフォーマンスを行うためのスケジュールの立て方なども行えるようになります。

これらの理論を知らないことで起こるのは、やる気や根性といった精神論です。
その対局にあるのが、このエクササイズサイエンスです。

身体を“芸術の道具”として扱う以上、その使い方には根拠が必要です。
どの動きで、どの筋肉に、どれだけの負荷がかかるのか、それを理解することが、効率的で安全な指導へとつながります。

さらに、この講義では生体力学(バイオメカニクス)の観点から、バレエの動きに潜む物理法則も紐解いていきます。

「なぜその動きが可能なのか」
「どこに力が働いているのか」

たとえば“引き上げ”という抽象的な言葉も、
重力との関係、床反力、体幹の安定という具体的な物理原理として説明できるようになります。
感覚的な表現を、科学の言葉に翻訳できるようになるのです。
それが、エクササイズサイエンスを学ぶ最大の意義です。

知らないままでは、努力が報われないどころか、間違ったフォームで身体を壊してしまうこともあります。
けれど、科学的な理解をもって動けば、身体は確実に応えてくれます。
同じレッスンでも、筋肉が“どう使われているか”を意識するだけで、動きの精度も回復力も、驚くほど変わるのです。

この学びは、単なるトレーニング理論ではありません。
それは、感覚と理論を結ぶ“知のトレーニング”です。
感覚だけでは曖昧になりやすい動きの仕組みを、科学的根拠によって裏づけることで、
指導の質も、表現の深さも大きく変わっていきます。

芸術と科学は、対立するものではありません。
むしろ、科学があるからこそ、芸術は自由になれる。
身体の使い方を理解することは、ダンサー自身の可能性を広げることであり、
それは同時に、生徒の未来を守る力にもなります。

エクササイズサイエンスを学ぶこと。
それは、美しさを「感覚」だけで終わらせず、
確かな「根拠」と「再現性」をもって伝える指導者になるための大きな一歩です。

バレエ安全指導者資格®︎ 事務局

まずはぜひカリキュラムをみてください。そのすべてがあなたの力になります!
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