みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。
今回は、『動作分析&運動学──「美しい動き」は、正しい動きの上にある』というテーマで、講座で学ぶ意味をお話したいと思います。
「解剖学」で身体の構造を知り、「整形外科学」で怪我のリスクを理解したうえで、次に学ぶのが、“動作分析&運動学”です。
この講義では、理学療法士の先生から直接、身体の「動き」を通して学びます。
「どのように身体をコントロールすべきか」
「正しい動かし方とは何か」
それを理論と実践の両面から探っていきます。
解剖学が“静”の学びだとすれば、動作分析は“動”の学び。
骨や筋肉の構造を、実際の動きの中でとらえ直すことで、どの動作が安全で、どの動作が怪我を招きやすいのかを体感的に理解していきます。
バレエでは、「形」を追い求めるあまり、無理な力の使い方をしてしまうことが少なくありません。
たとえばターンアウトやプリエ。
一見シンプルに見える動きも、関節の角度や重心の位置をほんの少し誤るだけで、膝や腰、足首などに大きな負担をかけてしまいます。
知らず知らずのうちに“美しい形”を優先し、“壊れる動き”を繰り返してしまう。
それが、「知らない」ことで起きている現実です。
そして、あなた自身の身体では怪我をせずにできた動きも、生徒が同じようにできるとは限りません。
身体の構造や可動域、感覚の捉え方は、一人ひとりまったく異なります。
だからこそ、感覚や経験だけに頼った指導は、ときに危険を伴うことがあります。
「私にはできたのだから」という言葉は、実は最も注意すべき言葉かもしれません。
その言葉の裏には、生徒の身体の個性を見落としてしまうリスクが隠れているのです。
この講義で大切にしているのは、見た目の美しさではなく、「どこからその動きが生まれているのか」という視点です。
見えているのは“結果”であり、その裏には、筋肉や関節、呼吸、重心移動といった複雑なメカニズムが働いています。
身体の各部位がどのように連動し、どのようにエネルギーを伝え合っているのかを理解することで、
安全で効率的、そして結果として美しい動きを実現できるようになります。
正しい知識があれば、「頑張る」という足し算ではなく、より力を使わず、負担を減らすことのできる引き算ができるようになります。
力づくで形を作るのではなく、自然な流れの中で動きを導くことができること。
それは、指導の現場ではとても大きな変化をもたらします。
生徒ができないとき、単に「もっと頑張って」「力を抜いて」と、ただ言うのではなく、
「どこから動きを出すか」「どこを支点にするか」といった具体的な説明ができるようになれば、
その瞬間から生徒の理解も動きも、驚くほど変わっていきます。
動作分析&運動学は、単なる技術論ではありません。
それは、「動き」を通して“身体の言葉”を読み解くための学問です。
正しく使えば、身体は応えてくれる。
そして、無理をさせなければ、身体は長く踊り続けられる。
理論と実践を行き来しながら学ぶこの分野は、まさに“動きのリテラシー”を高める時間です。
正しい知識と感覚を手に入れることで、あなたの指導の質は確実に変わります。
動きを知ることは、身体を守ること。
そしてそれこそが、表現を自由にする力なのです。
バレエ安全指導者資格®︎ 事務局
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