みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。
今回は、『音楽を学ぶとは、踊りの命を理解すること』というテーマで、なぜ指導者が音楽を学ぶのか、その意味を考えてみたいと思います。
バレエは、音楽とともにある芸術です。
しかし、もしその“音楽の仕組み”を理解していなければ、踊りは形だけのものになってしまうかもしれません。
音楽を知らないということは、感情や物語の源を知らないということ。
それは、踊りの本質「なぜ今この一歩を踏み出すのか」という問いを見失うことにもつながります。
バレエにおける音楽とは、単なる伴奏ではなく、「命の呼吸」です。
旋律が生まれた背景、拍やリズムが持つ文化的な意味、和声が生み出す感情の色彩。
それらを理解しようとすることは、ダンサーにとっても指導者にとっても欠かせない姿勢です。
なぜその音なのか。なぜその旋律なのか。
その“理由”に想いを馳せることこそ、音楽を“聴く”という行為の本質なのです。
この講座では、作曲家・東俊介先生とピアニスト・瀬川玄先生をお迎えし、
音楽とバレエの関係を【感覚】と【理論】の両面から学びます。
東先生の講義では、「拍子とリズム」「キャラクターダンスのリズム」をテーマに、
音楽の構造や各国のリズムの違いをひもときながら、
“なぜその動きが心地よいのか”“なぜそのテンポで踊るのか”を身体で体感していきます。
一方、瀬川先生の講義では、音楽の感情や物語を支える「和声(ハーモニー)」に注目します。
旋律の背後にある響きの流れを理解することで、
これまで感覚的だった表現や指導に、明確な根拠と深みが加わります。
音楽家が譜面を読み解くとき、彼らは作曲家の想いに触れようと、膨大な時間を費やします。
同じように、私たちバレエ指導者も、振付家や作曲家が込めた意図を丁寧に汲み取り、
それを身体で、空間で、呼吸で再現しようとする努力を忘れてはなりません。
テンポを変える、音を切る、調性を変える。
それは時に、作品の「魂」を軽んじる行為でもあります。
だからこそ、その変更が持つ意味と責任を理解することは、バレエ指導者にとって極めて重要な仕事なのです。
振付を守らないことが作品の破壊であるように、音楽を軽んじることもまた、バレエの精神を損なう行為となり得ます。
生徒に対して行うその指導が持つ影響をぜひ考えてみてください。
音楽を知るということは、私たちが何を守り、何を受け継ぎ、
そしてどのように広めていくのかという“本質的な問い”に向き合うことでもあります。
音楽は、目には見えないけれど確かに存在する「意志」のようなもの。
その意志を感じ取る感性こそ、バレエの生命線です。
「その人の踊りを見れば、その人の心がわかる」
この言葉はただ踊るスキルだけのことではなく、音楽や衣装など、すべてのことに対して、
その人が何を大切にしているかが具体的にわかってしまうということです。
音を聴く力は、感じる力であり、教える力であり、生きる力でもあります。
音楽を理解することは、ただ理論を学ぶことではなく、
音の中にある“想い”を受け取り、それを踊りを通して他者に伝えること。
それこそが、芸術家としての責任であり、指導者としての使命です。
バレエは音楽とともに始まり、音楽とともに終わります。
音を知り、音を感じ、音に生かされる。
そのとき、あなたの踊りも指導も、ひとつの“音楽”となるのです。
バレエ安全指導者資格®︎ 事務局
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