みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。
今回は、『歴史を踊るということ―バレエ史から学ぶ、教えるという行為について』というテーマで、講座で学ぶ意味をお話したいと思います。
バレエを教えるうえで欠かせない教養のひとつが「バレエ史」です。
バレエの動きや表現、音楽、衣裳。
それらはすべて、時代と文化の中で育まれてきました。
もしその背景を知らないまま指導を続けていれば、日本で学ぶ子どもたちは“形”だけをなぞり、そこに込められた精神を受け継げないかもしれません。
私たちが考えるバレエ史を学ぶ意味のひとつは、バレエという芸術が「歴史そのものを身体で体験できる」稀有な舞踊であることです。
ルネサンスの宮廷文化、啓蒙期のフランス革命、帝政ロシアの黄金時代。
バレエはまさに西洋史であり、世界史を身体でたどる芸術です。
私たちはレッスンを通して、無意識のうちに歴史の一場面を再演しているとも言えるのです。
それはとても貴重で、そして贅沢な体験。
時代を超えて受け継がれてきた精神と美意識に触れることが、クラシックバレエを“温かなもの”として生かし続けるための第一歩だと私たちは考えています。
本講座では、新国立劇場バレエ研修所講師で舞踊史研究家の芳賀直子先生をお迎えし、
近代バレエの革新をもたらした「バレエ・リュス」を中心に学びます。
ディアギレフ、ニジンスキー、ストラヴィンスキー、ピカソ、そしてポワレやシャネル。
彼らが手を取り合って創り出した世界は、舞踊・音楽・美術・服飾が融合した“総合芸術”として、
バレエを一つの社会的・文化的現象へと押し上げました。
私たちがこのバレエ史の講義に込めた想いは、年表を覚えることでも、その知識を自慢するためでも、過去に縛られることでもありません。
それは、先人たちのバレエへの情熱に触れること。
そして自分たちに問い直すこと。
「私たちは何を受け継ぎ、何を広めようとしているのか。」
それは守るべきものなのか、それとも時に壊し、新しく創造するものなのか。
バレエの歴史が教えてくれるのは、まさにその創造の連続です。
バレエは常に、伝統を尊重しながらも、過去を打ち破り、新しく生まれ変わってきました。
この変革の精神こそが、バレエを生きた芸術として導き続ける源なのです。
もし歴史を知らなければ、指導はテクニックの伝達にとどまり、生徒は「形」だけを習うことになるかもしれません。
もちろん、指導者にはそれぞれの想いや美学があります。
しかし、それ以上に、なぜ今この時代に、日本という国の中で、西洋で生まれた古典芸術を教えるのか。
その問いに答え、軸をぶらさずに指導し続けるためには、
バレエ史の中にこそ、その「理由」と「意味」を見出す必要があるのです。
バレエ史を学ぶことは、単なる知識の習得ではなく、
「これからのバレエ教育をどう生きるか」を考えるための基盤です。
歴史を知ることで、踊りの一つひとつに物語が宿り、
作品が語る声を、次の世代へと温かく手渡すことができるようになります。
それが、指導者としての真の教養であり、未来への継承だと、私たちは考えています。
バレエ安全指導者資格®︎ 事務局
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