みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。
今回はちょっと真面目な感じになりますが、私たちの資格が誕生した背景についてお伝えしたいと思います。
バレエ安全指導者資格®︎、そしてセーフダンスアソシエーションは、バレエジャポンが運営しております。
バレエ界の課題解決を目指し、活動しはじめて来年で15年を迎えます。
長い年月をかけ、少しずつ出来ることを増やしてまいりましたが、より積極的にフォローしていくために、バレエ安全指導者資格®︎を創設致しました。
「誰もが守られるバレエ教育」のために
私たちが「バレエ安全指導者資格®」を創設したのは、
バレエという素晴らしい芸術の世界に、長年見過ごされてきた構造的な課題があると感じたからです。
日本のバレエの指導現場では、いまも多くの課題が存在しています。
- 明文化された教育基準や安全基準が存在しない
- 資格なしでも子どもを教えられる制度上の不備
- 科学的根拠に基づかない“指導の常識”が温存されている
- 生徒の身体的・精神的リスクへの配慮が後回しにされがち
- 指導者自身が孤立し、心身をすり減らしている現状
- 「芸術だから」という理由でハラスメントや過剰な指導が黙認される風土
こうした課題を、見て見ぬふりはできませんでした。
だからこそ、現場に根ざした“学び直しの場”を制度として設けることが必要だと考えたのです。
専門性と倫理性の両立へ
この資格は、単に“踊れるようにする技術”を認定するものではありません。
整形外科医、公認心理師、栄養士、教育者などの国家資格を持つ専門家と、海外のバレエ教師資格を持つバレエの専門家の力を結集し、バレエを安全かつ発達支援的に教えるための知識と視点を体系化しています。
たとえば:
- 身体構造と成長に応じたケガ予防
- 成長期の心と栄養に関する支援
- 生徒の発達段階に応じた心理的配慮と声かけ
- 女性アスリート特有のリスク(無月経・骨粗鬆症・摂食障害)への理解
- ハラスメントの予防と倫理的な指導の在り方
- バレエの歴史的背景への理解とバレエメソッドの構造的理解
これらすべては、芸術と教育の現場における“当たり前”として必要な視点です。
「好き」だけでは守れないものを、守るために。
バレエが好きであること。
バレエに情熱を注いできたこと。
それはかけがえのない価値です。
けれど、「好き」という気持ちだけでは守れない現実もあります。
だからこそ、知識・技術・倫理・身体理解を兼ね備えた「教える人の専門性」が、いま本当に必要なのです。
現場の先生こそが、バレエの未来を変える
バレエの文化は、劇場の舞台だけでつくられているのではありません。
地域の稽古場やスタジオで、生徒たちと向き合い続ける先生の存在があってこそ、
この国のバレエがここまで広がってきました。
だからこそ、先生たちの在り方を支えることが、バレエの未来を守る一番の近道だと、私たちは信じています。
この資格は、
・教える側の「不安」や「迷い」を減らすこと
・生徒の「安心」や「信頼」をつくること
・バレエを社会の中で持続可能に育てていく仕組みを整えること
を目的に、創設されました。
教えることで、変えていく。
現場から変える。小さくても確かな変革を。
「バレエ安全指導者資格®」は、
バレエという芸術を、社会に開かれた、安心で健やかな文化として育て直すための一歩となる活動です。
“見えない努力”がちゃんと報われ、
“黙ってきた痛み”が置き去りにされず、
“誰かを育てる人”が孤独にならない世界へ。
バレエの未来を、そして生徒の皆様の未来を本気で考えるすべての先生へ。
私たちは、この資格を手渡したいと思っています。
バレエの世界で長く課題となっている部分について、私たちなりではありますが、解決する手立てとなればと願っております。
そして何よりも現場で生徒と日々向き合っていらっしゃる先生方のサポートになればと思いますし、その先にいらっしゃる生徒の皆さんのご健康とご活躍を願っております。
少し長くなりましたが、今回は本資格の想いについて共有させていただきました。
引き続き、より良いバレエの世界を目指して活動してまいりますので、共感してくださる方は、ぜひ一緒に学びを深め合っていきましょう!
ご一緒出来る日を楽しみにお待ちしております。
バレエ安全指導者資格®︎ 事務局