学習院大学「はじめてのバレエ学」登壇報告|実践と研究をつなぎ、日本のバレエの次の100年へ
BALLET STUDIES, PRACTICE & RESEARCH

学習院大学「はじめてのバレエ学」登壇報告。 実践と研究をつなぎ、日本のバレエの次の100年へ。 世界と日本のバレエを、歴史・教育・身体・研究から立体的に考える

2026年4月18日、学習院大学で開催された、舞踏学総合講座「舞台・映像芸術D」開講記念イベント『はじめてのバレエ学-実演×トーク×クロストーク-』に、セーフダンスアソシエーション代表・中谷広貴が登壇しました。世界のバレエ史、日本のバレエ教育、身体表現、そして研究の可能性を行き来する中で見えてきた、日本のバレエの未来についてご報告します。

この活動報告の要点

今回のイベントを通じて改めて見えてきたのは、日本のバレエを次の段階へ進めるためには、「踊る・教える」という実践と、「調べる・考える・記録する」という研究をつなぐ人材と場が必要だということです。歴史、教育、身体、文化、安全を横断してバレエを捉えることは、指導のアップデートや業界の安全性、そして文化としての持続可能性にもつながります。

HISTORY歴史から現在を見る
EDUCATION教育を比較する
RESEARCH実践と研究をつなぐ
FUTURE次の100年を考える

ACTIVITY REPORT

学習院大学「はじめてのバレエ学」へ
登壇いたしました

みなさま、こんにちは。セーフダンスアソシエーションです。

今回は活動報告として、2026年4月18日に学習院大学目白キャンパスで開催された『はじめてのバレエ学-実演×トーク×クロストーク-』についてお伝えします。

本イベントは、学習院大学大学院 人文科学研究科 身体表象文化学専攻が2026年度より開講した「舞台・映像芸術D」の開講記念イベントとして開催されました。

登壇者は、バレエダンサー・Awaji World Ballet芸術監督の針山愛美氏、セーフダンスアソシエーション代表の中谷広貴、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館助教の近藤つぐみ氏、学習院大学非常勤講師の高橋由季子氏。異なる専門領域から、バレエを歴史・教育・身体・実践という複数の視点で考える時間となりました。

踊ることから、考えることへ。
考えることから、また現場へ。

素晴らしい専門家の皆さまとともに議論を交わす機会をいただきましたことに、心より感謝申し上げます。

PART 1 / INTRODUCTION TO BALLET STUDIES

世界のバレエ史をたどりながら、
今の日本を見つめ直す

バレエは、現在の形のまま世界に広がったわけではありません。歴史をたどることで、いま私たちが「当然」と思っている価値観を相対化できます。

01

イタリアからフランスへ

バレエの源流と宮廷文化の広がりをたどりながら、芸術形式が社会や時代とともに変化してきたことを学びました。

02

ロシアとバレエ・リュス

ロシアで発展した教育・舞台文化と、バレエ・リュスが国境を越えて与えた影響を俯瞰しました。

03

イギリス・アメリカへ

各地域で異なる制度や文化と結びつきながら、バレエが多様な形へ発展していった流れを学びました。

04

日本への定着

日本のバレエの礎を築いた人々と歴史を振り返り、今日の日本独自の環境へつながる背景を考えました。

05

歴史から現在を見る

制度や教育は固定されたものではなく、時代と社会に応じて変化してきたという事実が、現在を考える重要な手がかりになります。

BALLET EDUCATION IN JAPAN

日本のバレエ教育を、
内側と外側の両方から見る

歴史的な流れを踏まえた上で、中谷からは「日本のバレエ教育の現状」についてお話しました。

FROM PRACTICE

実践者として見てきた現場

バレエ団での経験、指導現場との関わり、保護者・ダンサー・教師から寄せられる声など、実際の現場に立つ中で見えてきた日本の特徴を共有しました。

  • 教室を中心とした育成環境
  • 教師個人に依存しやすい指導文化
  • 進路・キャリア情報の不足
  • 安全・健康を支える仕組みの必要性
FROM GLOBAL PERSPECTIVE

世界との比較から見えること

針山愛美氏からは、国内外での豊富な経験をもとに「世界のバレエ教育」についてお話しいただき、異なる教育環境や価値観を比較する機会となりました。

  • 教育環境の違い
  • プロへの育成経路
  • 文化・制度との関係
  • 日本が持つ独自性と可能性
比較する目的は、「海外が正しく、日本が遅れている」と単純化することではありません。 異なる背景を知ることで、日本の環境の特徴を理解し、何を残し、何を更新するのかを具体的に考えることができます。

PART 2 / EXPERIENCING BALLET THROUGH THE BODY

映像で比較し、実演で感じる。
「身体で感じるバレエ」

歴史や理論だけでなく、実際の身体表現を通してバレエを考えることも、本イベントの大きな特徴でした。

映像から見る『瀕死の白鳥』

  • アンナ・パブロワ
  • マイヤ・プリセツカヤ
  • ウリヤーナ・ロパートキナ
  • 時代による表現の違い
  • 身体・解釈・美意識の違い

実演から考える

  • 針山愛美氏による実演
  • 映像と生の身体表現の違い
  • 作品解釈と個人性
  • 身体が持つ情報量
  • 実演後のクロストーク

バレエは、資料として読むものでもあり、
身体で経験し、比較し、問い直すものでもある。

THE POTENTIAL OF BALLET IN JAPAN

「遅れている」ではなく、
「これから変えられる」と捉える

世界の歴史や制度と比較すると、日本のバレエ環境には未整備に見える領域があります。

しかし、それを単に弱点として見る必要はありません。制度が固定されていないからこそ、これからの社会、子どもの安全、働き方、教育の変化に合わせて、新しい形をつくる余地があります。

中谷からも壇上で、日本にはこれからいかようにも進化していける大きなポテンシャルがあるという考えをお伝えしました。

FROM PRACTICE TO RESEARCH

バレエ経験者が、
「研究の現場」へ進む意味

今回のプログラムから、特に強く感じたのが「実践と研究をつなぐ人材」の必要性です。

01

経験を言語化する

「昔からそうしてきた」「感覚的に分かる」を、他者と共有し検討できる言葉へ変える。

02

記録する

指導や舞台の経験を個人の記憶だけに残さず、資料・記録・データとして次世代へつなぐ。

03

比較する

国内外、過去と現在、異なる教育制度や文化を比較し、日本独自の特徴を客観的に考える。

04

検証する

指導法や慣習を「伝統だから」で終わらせず、効果・安全性・社会的妥当性を問い直す。

05

現場へ戻す

研究を研究だけで終わらせず、指導者教育、安全基準、教室運営などの実践へ還元する。

実践の知恵を研究へ。
研究の知見を、再び現場へ。

THE NEXT 100 YEARS OF BALLET IN JAPAN

日本のバレエの、
「次の100年」を考える

イベントの最後には、中谷より日本のバレエの次の100年についてお話しました。

WHAT WE INHERIT

受け継ぎたいもの

  • バレエという芸術そのもの
  • 積み重ねられた技術と作品
  • 教師から生徒へ受け継がれる知恵
  • 舞台を支えてきた人々の情熱
WHAT WE BUILD NEXT

これから加えたいもの

  • 学術研究との連携
  • 安全と健康の共通基準
  • 透明性のある教育環境
  • キャリアと社会への接続
  • 実践者が研究へ進む道

セーフダンスアソシエーションでは、今後も大学や研究者をはじめとする学術的な場との連携を大切にし、日本のバレエ環境の発展と、未来へ向けた具体的な仕組みづくりを進めていきます。

バレエの未来は、舞台の中だけではつくられません。 教育、研究、医療、文化、社会制度など、異なる領域がつながることで、より豊かで持続可能な文化へ育てていけると考えています。

WITH GRATITUDE

貴重な機会を、ありがとうございました

イベント終了後も、有識者の皆さまと多角的な研究や考察について意見を交わす機会に恵まれ、非常に充実した一日となりました。

ご来場くださった皆さま、登壇者の皆さま、そして本イベントを企画・運営された学習院大学大学院 人文科学研究科 身体表象文化学専攻ならびに関係者の皆さまへ、心より御礼申し上げます。

今回得た問いと学びを、今後の指導者教育、安全基準づくり、そしてバレエと社会をつなぐ活動へ還元してまいります。

LECTURES, TALKS & COLLABORATION

講義・講演・研究連携のご相談

安全な舞踊教育、日本のバレエ教育、子どもの健康、指導者教育、キャリア、業界の未来などをテーマとした講義・講演のご相談を承っています。

FOR UNIVERSITIES, SCHOOLS & ORGANIZATIONS

実践と専門知を、社会へつなぐ

大学・学校・舞踊団体・教育機関・自治体等での講義、講演、意見交換、共同企画など、ご相談内容に応じてテーマを構成します。

  • 日本のバレエ教育と安全
  • 子どもの心身を守る指導環境
  • 舞踊と社会・教育・キャリア
  • 実践知と学術研究の接続
  • 日本のバレエの未来と安全基準

RELATED INFORMATION

本記事は、2026年4月18日に学習院大学で開催された『はじめてのバレエ学-実演×トーク×クロストーク-』への登壇を受けた活動報告です。イベントの日時・会場・登壇者・主催情報は学習院大学公式案内をもとに記載しています。当日の各セッション内容と所感は、セーフダンスアソシエーションによる活動報告として整理しています。

実践を研究へ。
研究を、より良い現場へ。

日本のバレエには、これから変えていける大きな可能性があります。踊る人、教える人、研究する人、支える人が領域を越えてつながることで、次の100年へ続く文化と環境を育てていけると考えています。

セーフダンスアソシエーション