みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。

今回のコラムでは、「休む勇気と踊り続ける未来」をテーマに想いを書いてみたいと思います。

「休む勇気」と「踊り続ける未来」

バレエの世界には、「休むこと」に対して罪悪感を抱いている方が少なくありません。
レッスンを休まずに通い続けること、痛みがあっても舞台に立つこと、多少の不調には目をつぶって踊り続けること…
そうした“がんばり”にこそ価値があるような空気が、どこかに根づいているように感じます。

もちろん、努力を続けることは素晴らしいことです。
でも、無理をしてでもレッスンに来たから“偉い”というわけでは決してありません。
身体が痛む中でもステージに立ち、踊りきる。
その姿にはたしかに感動があります。けれど、果たしてそれは良いことなのでしょうか。

もしその無理が原因で、大きな怪我につながり、手術が必要になり、踊ることそのものを続けられなくなってしまったとしたら。
その時、あなた自身は何を感じるのでしょうか?
その出来事から、どんなメッセージを受け取ろうとするでしょうか?

「最後まで踊りきったから偉い」「痛みに耐えてステージに立ったからすごい」
そんな言葉や状況を見聞きするたびに、どこかで胸が締めつけられるような気持ちになります。

本当に大切なのは、痛みを隠して踊りきることではなく、
これからも踊り続けられる身体や心を守ること。
それは、ダンサー自身にとっても、応援してくださる観客の皆さまにとっても、かけがえのない価値があるはずです。
一日でも多く踊りたいと願うダンサー同様に、一日でも多くそのダンサーのパフォーマンスを見たいと願っているからです。

「今あるこの痛みがなかったら、どれだけ自由に、ストレスなく、楽しく踊れるだろうか」
きっと、多くのダンサーが一度はそう思ったことがあるはずです。
その“もしも”は、夢ではありません。
適切な知識とサポート、そして“休むことを恐れない勇気”があれば、現実に変えていくことができるのです。
(そもそもはなぜ休むことに恐れがあり、勇気が必要なのかを考え直すところからかもしれません、、、)

本当の意味で無理をしなければならない時もあるかもしれません。
でもそれは普段からではありません。
普段のレッスンから無理をしていたら、その先は本当に無理になってしまいます。

無理して、がんばって、耐え抜くことだけが“強さ”ではありません。
自己管理という部分でいえば、最高のパフォーマンスという目的のための手段として”レッスンを休まない”ではなく、休むことでそれが得られるならば、休むことにもまた”レッスンし続けることと同様の意味”があるということです。

そしてもうひとつ。
「助けを求める勇気を持つこと」も大切です。

私たちセーフダンスアソシエーションでは、整形外科医や理学療法士、公認心理師など、各分野の医療・専門職によるチームで、ダンサーの皆さんをサポートしています。
身体の痛みや不調に関する相談はもちろん、心の揺らぎや不安についても、どうぞ遠慮なく声をかけてください。

踊り続けたいと願うすべてのダンサーに、
「正しく休むこと」
「自分の身体と心を大切にすること」
そして「一人で抱え込まないこと」の大切さが、当たり前に共有されるバレエの世界であってほしいと願っています。

あなたの身体は、あなたが踊るためにあります。
守るべきは「舞台」だけでなく、そこに立つ「あなた自身」です。

最後に

ダンサー自身が与えられたそのチャンスを手放したり、自ら舞台を降りることはほぼないといって良いでしょう。
どんなことがあっても舞台に立つ。そう小さいころから教え込まれていますし、ご自身の中にもそうありたいと思う方も多いでしょう。

だからこそ、まずはダンサーをキャスティングする先生方やスタジオやカンパニーを運営される方々が、所属されているダンサー一人ひとりの心身の健康を見守ることをぜひはじめてもらえたらと願っております。
そのためのお手伝いもいたしますので、お気軽にお声掛けください。

バレエに携わるすべての方の健康をお祈りしております。

バレエ安全指導者資格®︎ 事務局