みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。
今回は、『子どもを守るために、今知っておきたい月経とバレエの話』というタイトルで、2月8日、婦人科医の塚田訓子先生をお招きし開催いたしますセミナーについてのお話をしていきたいと思います。
「生理がない方が体が軽くて踊りやすい」
「バレエを続けるなら、生理が来ない方がいい」
もし今も、バレエ界のどこかでこうした言葉が当然のように語られているとしたら、それは極めて危険な認識です。
これは意見の違いではありません。明確な健康リスクを伴う誤解であり、放置すれば、若いダンサーの将来を取り返しのつかない形で奪いかねません。
「生理がない」は、好都合な状態ではない
生理が止まることを「調子がいい」「踊りやすい」と捉えてしまう背景には、バレエ界特有の価値観があります。
しかし医学的に見れば、無月経は決して好ましい状態ではなく、身体が限界に近づいていることを知らせる重大なサインです。
バレエは芸術であると同時に、高強度の身体活動を伴う競技でもあります。
特に成長期のダンサーは、練習量の増加や過度な体重管理によって、エネルギー不足に陥りやすい状況にあります。
その結果として起こる月経不順や無月経は、「よくあること」では済まされません。
無月経が引き起こす、見えない連鎖
医学的には、BMIが17.5を下回ると無月経のリスクが急激に高まることが知られています。
エネルギー摂取量が消費量に追いつかない状態が続くと、脳は「生命維持を優先すべき危機状態」と判断し、生殖機能に関わるホルモン分泌を抑制します。
これにより起こるのが、**「女性アスリートの三主徴(FAT)」**と呼ばれる状態です。
- 利用可能エネルギー不足
- 無月経
- 骨密度の低下
この連鎖の中で、特に深刻なのが骨への影響です。女性の骨密度は18歳前後にピークを迎えます。この一生に一度しかない時期に無月経が続けば、十分な骨量を獲得できず、疲労骨折を繰り返す身体になってしまいます。
これは、ダンサーとしての活動寿命を縮めるだけでなく、引退後の人生においても骨折リスクや慢性的な痛みを抱える可能性を高めます。
「今は踊れるから大丈夫」という判断は、あまりにも短絡的なのです。
未来を守るために、今できること
「生理がない方がいい」という言葉を、これ以上、当たり前にしてはいけません。
それは美の追求ではなく、沈黙のうちに行われる健康侵害です。
私たちは今、価値観をアップデートする時代に立っています。
ダンサーの身体を守るために必要なのは、根性論ではなく、正しい知識と明確な判断基準です。
若いダンサーたちの未来が、誤った常識によって奪われることのないように。
この問題を「一部の特殊な話」として片付けず、業界全体で真剣に向き合う必要があるのです。
男性指導者にこそ求められる「知識」
日本のバレエ界では、多くの男性指導者が第一線で活躍しています。
しかし、女性特有の生理やホルモンの変化は、男性自身が体験することのできない領域です。
体験できないからこそ、想像や経験則だけで判断するのではなく、正しい医学的知識を「学ぶ」ことが、生徒を守るための最大の武器になります。
「人は自分とは違う身体を持っている」
この当たり前の前提に立ち、生徒一人ひとりの成長段階やライフステージに寄り添うことは、これからの時代の指導者にとって欠かすことのできない資質です。
「知らなかった」では済まされない時代へ
目の前のコンクールや舞台の結果のために、将来を犠牲にする指導であってはなりません。
10年後、20年後も、彼女たちが健康に踊り、幸せに生きていける未来を育てること。それこそが、本当の意味での「指導」ではないでしょうか。
2026年2月8日、私たちは婦人科医・塚田訓子先生をお招きし、バレエ指導者および保護者の皆様に向けて、「女性の身体のリアル」を学ぶセミナーを開催します。
本セミナーでは、
- 無月経を見逃してはいけない具体的な基準
- 医療機関への受診を勧めるタイミング
- ピルの正しい理解と活用方法
など、現場で直面する判断に直結する知識を、医学的根拠に基づいて丁寧にお伝えします。
「知らなかった」では済まされない時代です。
子どもたちの未来を守るために、指導者も、保護者も、共に知識をアップデートしていきましょう。
バレエ安全指導者資格®︎ 事務局
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◾️ジュニアバレリーナと指導者のための婦人科ガイド
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