みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。

今回は、私たちが掲げる「バレエ指導におけるプロフェッショナリズム」をテーマに、いま日本のバレエ界が直面している課題と、私たちが目指すべき未来についてお話しします。

奪われる未来から、守られる未来へ

小さな身体に大きなバー、鏡を前にして日々レッスンで汗を流す子どもたち。
時代がどれだけ変わっても、その姿に変わりはありません。
そして、側から見れば、極限まで地味な動作の連続の中であっても、上達の手応えを、その心のうちにも感じとっています。

バレエのお教室に通われている理由は様々。
それでも続けていられるのは、共通して「バレエが好き」だから、だと思います。

日本人が海外の伝統ある国立劇場はじめ、多くのバレエ団で当たり前にトップを務めるようになってから、どれくらいの時間が経過したでしょうか?
英国ロイヤル・バレエ団を見ても、日本人の活躍は目覚ましいものがあることを、多くの方はご存知かと思います。

しかし、その輝きの影で、あまりにも多くの子供たちが、防げたはずの怪我や心の傷によって、志半ばで舞台を去っている現実を私たちは知っています。
実際に先生のお名前やスタジオ名を含め、これまでにも数多くの具体的な事例をお聞きしてきました。
今、この時代にあってもなお、『そんなことあるの?』と耳を疑うような事例を数多くお聞きしています。

なぜ、ただ「バレエが好き」な子どもたちが、苦しい想いをしなければならないのでしょうか?
そして、その子どもたちを預けている保護者の方の悲痛な想いは、なぜ先生方に届かないのでしょうか?

これまで日本のバレエ界を牽引してきたのは、間違いなく「スペシャリスト(専門家)」の方々です。
自身の身体を極限まで追い込み、卓越した技術を身につけ、伝統を継承してきた「踊りの達人」たちです。

しかし、私たちが直面している悲劇の多くは、単なる技術的な失敗ではありません。
それは、スペシャリストという『狭い視野』への依存と、導き手に不可欠な『倫理観』の喪失が、歴史の中で構造的に絡み合って生み出された結果だと、私たちは考えています。

「できること」と「なすべきこと」の違い

ここで、スペシャリストとプロフェッショナルの決定的な違いを再定義する必要があります。

スペシャリストとは、いわば「能力の深さ」を指す言葉です。
「誰よりも高く跳べる」「美しく回れる」といった、個人のスキルを極めた状態です。

一方で、プロフェッショナルとは、その卓越したスキルに加えて、「高い倫理観」「社会的な責任」を背負う人を指します。

スペシャリストの視点は、しばしば「私」に向きます。
「私ができたのだから、あなたもできるはずだ」という、自らの経験という狭い物差しで生徒を測ってしまう。

また、若い世代の方々で、指導者になりたいとお考えの方々にお話を伺うと多くの方が、「私の経験を子どもたちに伝えたい」、そうお話しされます。
しかし、「自分の経験」という限定的なサンプルを、そのまま「正解」として手渡すことは、時に残酷な凶器になり得ます。

かつて自分が耐え抜いた過酷な環境や、偶然手にした成功体験をそのまま「指導」に置き換えてしまうとき、そこには客観的な理論も、身体への医学的配慮も、そして何より、目の前の個性に寄り添う「倫理観」が介在する余地がなくなってしまうからです。

スペシャリストとして技術のみを追い求めてきた方々には、とても辛いことかもしれませんが、一度立ち止まり、考えなければなりません。
私たちが次世代に受け継ぐべきは、過去の苦労話や根性論ではなく、「安全に、かつ科学的な根拠に基づいた健やかな成長の場」であるはずだからです。

指導者が自らの経験を絶対視せず、常に歴史的な構造を俯瞰し、最新の知見と倫理観を持って学び続けること。
それこそが、現在私たちが直面している教育の悲劇を断ち切り、真に未来を担う子どもたちを守るための道であると私たちは確信しています。

倫理なき指導が、子供たちの健康を蝕む

最も深刻な問題は、指導の現場に「教育者としての倫理」が欠落しているケースが散見されることです。

「バレエは厳しいものだ」という言葉を隠れ蓑にして、解剖学的に不可能な動きを強要する。
痛みを訴える生徒に根性論を説く。
あるいは、偏った美意識から適切な食事を制限させ、摂食障害や月経不順を招く。

これらは、指導者の知識不足であると同時に、生徒という「自分より弱い立場にある人間」の健康と人生を預かっているという、プロフェッショナルとしての自覚の欠如に他なりません。

知識がないまま教えることは、もはや「情熱」ではなく「暴力」になり得ます。
指導者になろうとしている方、そしてすでに指導者である方々は、この残酷な事実に正面から向き合わなければなりません。

「バレエ安全指導者資格®︎」で学ぶこと

「バレエ安全指導者資格®︎」は、単なる知識習得の場ではありません。
それは、日本のバレエ指導を「個人の経験則」から「社会的な信頼」へとアップデートするための、切実な願いから生まれた場所です。

私たちが目指すプロフェッショナルとは、自身の輝かしいキャリア(スペシャリストとしての顔)を誇る人ではありません。
自らの無知に気づき、医学、心理学、栄養学、そしてバレエの歴史やその他芸術に対して謙虚に学び続ける人です。

「なぜこの指導が必要なのか」を科学的に説明し、万が一の際には他職種と連携して生徒を守る。
自分のプライドよりも、目の前の生徒の「10年後の健康」を最優先にできる人です。

バレエを「一生の宝物」にするために

子供たちがバレエを通じて得られるはずのものは、強靭な心身と、豊かな感受性であるはずです。
それを、指導者の無理解によって「ボロボロになった身体」「自己肯定感の喪失」に変えてはなりません。

先生がプロフェッショナルへと進化することは、生徒の未来を守るのと同時に、先生自身を「無意識の加害」から守ることでもあります。
確かな根拠に基づいた指導は、先生に揺るぎない自信を与え、スタジオを「安心と成長」を与えてくれる場所へと変化していくでしょう。

「昔はこうだった」という言葉を捨て、「未来のために何をすべきか」を語り合う。
私たちは、志を共にするプロフェッショナルな指導者の皆さんと共に、日本のバレエ教育の根底を変えていきたいと切に願っています。

この想いに共感され、私もプロフェッショナルでありたいと願う方は、ぜひ私たちとともに学び合いましょう。

バレエ安全指導者資格®︎ 事務局

プロフェッショナルなバレエ教師になるためのバレエ安全指導者養成スクール
https://safedance.jp/study/school/