みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。

【選ばれるお教室の条件】をテーマとした連続コラムの最終回は、『私たちが決して見失ってはいけない「当たり前」のこと』というタイトルでお届けいたします。

全5回にわたり、「なぜ生徒は辞めるのか」「これから選ばれる教室とは」について、時に厳しい現実や、耳の痛い指摘も含めてお話ししてきました。
解剖学的な安全性、心理的な安全性、そして多様な価値観への理解。
これらはすべて、現代の教室運営において不可欠なであり基本となる「OS」ともいえます。

しかし、この連載の最後にお伝えしたいのは、もっと根源的で、シンプルで、でも私たちが最も忘れがちな「当たり前」についてです。

「好き」の根っこは、みんな同じ

あなたはなぜバレエを始めましたか?
そして、なぜ今日まで、その厳しくも美しい世界に身を置き続けているのでしょうか?
きっと、きっかけは単純だったはずです。

「チュチュが可愛かったから」
「音楽に合わせて動くのが楽しかったから」
「踊っている瞬間だけは、特別な自分になれたから」

言葉にすれば、「バレエが好き」

ただそれだけのこと。
そして、あなたの教室の扉を叩く生徒たちもまた、まったく同じ想いを心に抱いてやってきます。

プロを目指して血の滲むような努力をする子も、仕事の合間に息を切らして駆け込んでくる大人の生徒も、そして指導者であるあなたも。
置かれている環境や、目指す高さ、かけられる時間は違っても、心の奥底にある「バレエが好き」「踊りたい」という情熱の純度に、優劣などありません。

ただ、その「好き」の表現方法や、人生における比重が違うだけなのです。

その「違い」を愛せるか

私たち指導者は、しばしば自分の物差しで生徒の「好き」を測ってしまいます。

「毎日来ないなんて、本気じゃない」
「痛みを我慢できないなんて、愛が足りない」

そうやって、自分と違う形の愛情表現を「ニセモノ」だと切り捨ててしまう。
でも、それはあまりにも悲しいすれ違いです。

想像してみてください。

仕事でクタクタになり、家事や育児に追われ、それでも「どうしても踊りたい」と願って、週に一度、貴方のスタジオに来るその人のことを。
彼女にとってのその90分は、貴方にとっての毎日と同じくらい、いや、それ以上に濃密で、渇望していた時間かもしれません。

「週に1回しか来られないけれど、この時間が私にとって一番大切なんです」

そう語る生徒の想いを、どうか真正面から受け止めてあげてください。
「週1回じゃ上手くならないから意味がない」と突き放すのではなく、「その貴重な1回で、どれだけ心を豊かにしてあげられるか」に、あなたの指導者としての情熱と技術を注いでください。

帰る場所になるということ

生徒が求めているのは、完璧なターンアウトができるようになることだけではありません。

「今日もここに来てよかった」
「先生に会えて、明日からまた頑張れる」

そう思える「居場所」を求めています。

あなたが、「上手いか下手か」「頻度が高いか低いか」という色眼鏡を外し、一人の人間として、同じ「バレエを愛する仲間」として彼らを迎え入れた時。
教室の空気は劇的に変わります。
そこには、緊張や恐怖ではなく、敬意と感謝が循環し始めるでしょう。

あなたのお教室が、技術を競うだけの場ではなく、それぞれの人生を彩る場所になった時、生徒は決してそこを離れることはないでしょう。
なぜなら、そこは彼らにとって、単なる習い事の場所を超え、代わりの効かない「人生の一部」になるからです。

終わりに

技術を教えることは大切です。
解剖学も、歴史も、メソッドも、すべて必要です。
でも、それらはすべて、目の前の生徒が「幸せになる」ための道具に過ぎません。

私たち指導者の仕事は、バレエという素晴らしい芸術を通して、生徒の人生を少しだけ支え、彩り、豊かにすること。

そんな当たり前のことを、私たちは見過ごさないようにしなければなりません。
日々の忙しさや当たり前にバレエがある環境の中で、決して見失わないようにしなければなりません。

生徒の「好き」を守り、育て、共に歩む。
そんな愛ある指導者が一人でも増え、日本のバレエ教室がもっともっと笑顔で溢れる場所になることを、心から願っています。

バレエ安全指導者資格®︎ 事務局

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