みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。

今回は、『服飾史 ―「身体」は衣装によって語り始める』というテーマで、講義の内容についてお話したいと思います。

服飾史の講義は、ファッションデザイナーで、振付家でダンサーの森山開次さんの舞台衣装なども手がける大脇幹裕先生が担当してくださいます。
オリジナルブランドも立ち上げられているファッションデザイナーのお話を伺うという機会もなかなかありませんので、大変に貴重な講義となっております。

バレエとファッション。
この二つは一見まったく別の世界のように見えるかもしれません。
しかし実際には、古くから互いを刺激し合いながら歩んできた、深い関係にあります。

両者に共通するのは、「身体をどう見せるか」「身体で何を語るか」という問い。
衣服もバレエも、時代ごとにその問いへの“答え”を更新し続けてきた芸術なのです。

本資格では、ベーシック講座にて、舞踊史研究家の芳賀直子先生による【バレエ・リュス】の功績を辿る歴史の講義からはじまりますが、この服飾史につながる流れもぜひ体感していただけたらと思います。

すべては一つにつながり、そしてそれぞれにまた今まさに発展し続けている様子が見て取れるようになりますので、そういった部分でも本資格で学ぶ楽しさを存分に味わっていただけたらと願っております。

バレエ・リュスが作り出した革新

20世紀初頭、バレエ・リュスの登場は、芸術全体を揺さぶりました。
舞踊・音楽・美術・服飾が一体となった刺激的な舞台は、当時のファッション界にも大きな衝撃を与えます。

レオン・バクストがデザインした革新的な衣装は、
ポール・ポワレやシャネルといったデザイナーたちに「動く身体の美」に対する新しい視点をもたらしました。

衣装は単なる飾りではなく、踊りそのものの質を決定づける“第二の身体”となり、バレエの美学そのものを大きく変えていったのです。

現代のデザイナーが踊りに与えた影響

この革新の系譜は現代にも受け継がれています。
そして、日本人にとっても実は直接関係のあることでもあります。

三宅一生、川久保玲など、日本を代表するデザイナーたちは、
“衣服とは何か”を根本から問い直す作品を通して、舞台芸術にも新たな可能性を示しました。

コンテンポラリーダンスの巨匠 ウィリアム・フォーサイスとの創作により生み出された三宅一生のプリーツは「身体の動きが完成させる服」
モダンダンスの巨匠 マース・カニンガムに影響を与え、新しい作品を生み出すきっかけとなった川久保玲の服は「身体そのものの定義を揺るがす造形」

彼らの衣服は、ただ着るだけでなく、踊りと対話しながら“表現そのもの”へと変化していきます。

服飾史を学ぶことは「身体観」を学ぶこと

本講義では、こうした服飾史の流れを追いながら、衣装が時代の思想・文化・身体観をどのように映してきたかを学んでいきます。

バレエ指導者にとって、服飾史を知る意義は単なる衣装の知識にありません。
それは、「身体をどう理解し、どう演出し、どう伝えるか」という芸術の根本を学ぶこと にほかなりません。

衣装一つで踊りは変わります。
シルエットが変わり、可動域が変わり、観客が感じる“物語”すら変わります。

つまり、衣装を理解することは、
踊りそのものの理解を深めることでもあるのです。

知らないままでは、衣装はただの“装飾”で終わる

服飾史を知らなければ、衣装はただのカラフルな飾りに見えるかもしれません。
しかし、その背後には、
・時代の価値観
・美意識の変化
・身体への思想
が豊かに息づいています。

それを知らずに舞台を作ることは、重要な文脈を欠いたまま作品を読み解くことと同じです。

服飾史を知ると、衣装は“物語を語る身体”へ変わる

私たちはつい技術を指導することに熱心になり、忘れがちですが、
クラシックという芸術を伝える指導者である以上、その歴史を伝える大切な役割を担っています。

しかし実際には、その歴史をあまり学んできていないことも事実です。
もう少し正直に書くと、興味を持ってこなかったと言えるでしょう。

服飾史を学ぶことで、衣装は単なる装飾ではなく、踊りと共に“物語を語る身体”へと変わります。
クラシックバレエのチュチュも、コンテンポラリーの一枚布のような衣装も、すべてはその時代の美学・思想・身体観の結晶です。衣装は踊りの一部ではなく、踊りを形づくる「もう一つの身体」なのです。

その歴史的背景や思想を読み解く視点を持つことは、指導者にとって単なる知識以上の意味があります。
それは、舞台芸術をより深く理解し、作品の本質を捉えるための“教養”であり、生徒に伝えられる世界の広さそのものだからです。

バレエを、単なるテクニックの発展だけにとどめるのか。
それとも、人類史の中で育まれてきた芸術の継承と発展として捉え、次の世代へ伝えていくのか。

その違いを生むには、指導者がどれだけ深い教養を持つかにかかっています。
だからこそ、衣装の背景を理解することは、バレエの未来にとって欠かせない学びだと私たちは考えています。

バレエ安全指導者資格®︎事務局

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