みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。

今回は、『知らないとは、壊すリスクを知らないということ – バレエにおける解剖学の意味』というテーマで、講座で学ぶ意味をお話したいと思います。

【解剖学】という言葉は、ここ10年くらいの間に、バレエ界でよく耳にするようになりました。
また、現在もその言葉はより広く大きく聞こえてきます。

なぜ【解剖学】を学ぶのか、またなぜ【解剖学】に興味を持つのか。
きっと多くの方は、【解剖学】を学んだ方が、上達できるから、何かできない悩みを解決できるからとお考えかと思います。
もちろん、学ばれる理由は様々で、学ぶことにこそ意味がありますが、本資格での位置付けは違います。

バレエは、芸術であると同時に、身体の科学でもあります。
美しいポーズや動きの一つ一つを形づくっているのは、骨や関節、筋肉、さらにはより細かくいえば、呼吸や循環といった生命を支える精密なシステム。
つまり、私たちが「美しい」と感じる瞬間は、身体という“自然の構造”の上に成り立っているのです。

けれど、その構造やルールを知らないということは、その自然な構造を崩してしまう可能性がある、ということです。
つまり、「どうすれば身体が壊れてしまうか」を知らないということでもあります。

たとえば、レッスンの中で何気なく口にする「もっと開いて」「膝を伸ばして」という一言。
その言葉が、ある生徒にとっては危険な指示になってしまうこともあります。
世の中には、それ以上“開けない人”だけでなく、それ以上“開いてはいけない人”もいる。
同じように、それ以上“伸ばせない”ではなく、“伸ばしてはいけない”人も存在します。

身体の個性や構造を理解せずに指導を行うことは、意図せず生徒の身体を痛めてしまうリスクを含んでいます。
そしてそれは、生徒に限らず、教える側である先生自身にも起こり得ることです。
無理な動きを繰り返すことで慢性的な痛みを抱えたり、知らず知らずのうちに関節や筋肉を酷使してしまったり。
努力や根性で乗り越えられる範囲には、正直なところ限りがあります。

私たちが指導者として本当に目指すべきは、
“動ける身体”をつくることではなく、“長く踊れる身体”を育てること。
そのためには、正しい知識が欠かせません。
身体の仕組みを理解し、無理なく安全に動かすための科学的な視点を持つこと。
それが、生徒の成長を支え、先生自身の指導をより豊かなものにしてくれます。

想像してみてください。
もしあなたの大切なお子さんの身体を、「扱い方を知らない人」に預けるとしたら。
不安ですよね。
それは生徒たちも同じです。
だからこそ、教える側が「知っている」ということが、生徒の安心と未来を守ることにつながるのです。

解剖学を学ぶということは、単に専門的な知識を得ることではありません。
それは、身体の声に耳を傾ける力を育てること。
「痛み」や「違和感」を、感覚や根性論ではなく、構造として理解すること。
知識を持つことによって、身体との“対話”が生まれます。

その対話の中で初めて、芸術としてのバレエは真に輝くのではないでしょうか。
無理を強いる美ではなく、調和と尊重の上に立つ美。
それを実現する第一歩が、身体を理解するということです。

バレエの世界で生徒を育てることは、身体を育てることでもあり、同時に人としての生き方を育てることでもあります。
だからこそ、身体の構造を学ぶことは、技術や形を超えた「教育としてのバレエ」の出発点なのです。

ぜひ私たちの資格から、その学びをスタートしていきましょう。

バレエ安全指導者資格®︎ 事務局

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