世界で一番安全な バレエスタジオに向けて。 講師紹介|井梅由美子先生
子どもたちは、憧れとともに、まだ完成していない繊細な「心」を携えてスタジオの扉を開きます。だからこそ、これからのバレエ指導に必要なのは、技術を教える力だけでなく、子どもの発達や心の動きを理解し、安心して挑戦できる環境をつくる力です。本資格で心理学を担当してくださっている井梅由美子先生は、そのための大切な視点を私たちに届けてくださっています。
BALLET SAFE TEACHER INSTRUCTOR
井梅 由美子 先生 YUMIKO IUME
- 東京未来大学 こども心理学部 准教授
- 公認心理師
- 臨床心理士
発達臨床心理学を専門とし、大学での教育・研究に加え、精神科クリニックや小児科での臨床経験も持つ井梅由美子先生。子どもの発達段階や心理的な成長、特性理解、指導者自身の自己理解まで、多面的に「心の安全」を支える視点を届けてくださいます。感情論でも精神論でもない、科学的で温かな心理学のまなざしが、これからのバレエ指導の土台になります。
WHY PSYCHOLOGY MATTERS
バレエにおける「心の安全」は、
技術以前の土台です
みなさま、こんにちは。セーフダンスアソシエーションです。
『世界で一番安全なバレエスタジオを目指して』。講師紹介シリーズ第5回は、心理学の講義を担当してくださっている井梅由美子先生をご紹介します。
バレエは、身体の芸術であると同時に、非常に繊細な「心」の芸術でもあります。美しさを追い求める環境の中では、自信、比較、不安、緊張、失敗への恐れなど、さまざまな感情が絶えず動いています。
だからこそ、これからの指導者には、身体の安全と同じくらい、心の安全を守る視点が欠かせません。できないことを責めるのではなく、挑戦を支えること。萎縮させるのではなく、安心して育てること。その土台をつくるのが、心理学です。
心を守ることは、甘やかしではありません。
挑戦できる環境をつくる、もっとも実践的な安全対策です。
WHY FOUR PSYCHOLOGY PROFESSIONALS
なぜ、バレエに
「4人の心理師」が必要なのか
本資格が複数の心理専門職の先生方をお迎えしているのは、プロの現場でメンタルパフォーマンスが重要だから、という理由だけではありません。
それ以上に、今のバレエ指導現場では、先生と生徒、あるいは保護者と子どもが、互いに傷つけ合ってしまう不幸なケースが少なくないからです。
身体の怪我は見えますが、心の傷は目に見えません。見えないものだからこそ、「きっと大丈夫」「このくらい普通」と見過ごされやすく、気づいた時には深い自己否定や不安、無力感につながっていることもあります。
心理学は、単にメンタルを“強くする”ためだけの学問ではありません。子どもの発達段階を理解し、適切な言葉がけを考え、指導者自身の心の状態を整え、必要な支援へつなぐための実践知です。
見えない心を、見ないままにしない。
そのために専門家の知見が必要です。
THE INVISIBLE FILTER OF SUCCESS
指導者の「成功体験」は、
時に見えないフィルターになる
多くの指導者は、自らが努力を重ね、厳しい環境を乗り越えてこられた方々です。その経験は大きな財産です。
しかし同時に、その輝かしい成功体験が、目の前の生徒を歪めて見せる「見えないフィルター」になることがあります。
指導者にとっての「当たり前」は、子どもにとっての「当たり前」ではありません。自分ができた道筋を、そのまま生徒に求めてしまうと、「なぜできないの?」という問いは、時に人格否定に近い痛みとして届いてしまいます。
井梅先生の講義は、この「自分と他者は違う」という当たり前でありながら最も忘れがちな事実を、発達心理学や発達障害理解の視点から、丁寧に再定義してくださいます。
「自分ができた」は、
「誰でも同じようにできる」の証明ではありません。
DEVELOPMENT AS A SAFETY NET
「発達段階」を知ることが、
子どもたちの安全網になる
子どもは、大人のミニチュアではありません。幼児期、児童期、青年期と、それぞれの段階に応じた発達課題があり、認知や感情の扱い方、自己理解の深さも異なります。
たとえば、ある年齢の子どもに大人と同じレベルの客観的な自己分析や感情の整理を求めても、それは構造的に難しいことがあります。それは「やる気の問題」ではなく、まだその段階に至っていないだけです。
発達段階を知ると、「なぜできないの?」という苛立ちは、「今はできなくて当然。今まさに育っている途中なんだ」という理解へ変わっていきます。待てる指導者の存在こそが、子どもたちにとって最大の安心になります。
待つことができる指導者は、
子どもの成長を信じられる指導者です。
CURRENT PROFILE
井梅由美子先生
プロフィール
現在確認できる公開情報をもとに、専門性や活動背景が伝わるよう整理しています。
- 所属
- 東京未来大学 こども心理学部 こども心理学科 心理専攻 准教授
- 資格
- 公認心理師、臨床心理士、小学校教諭一種免許
- 専門
- 臨床心理学、発達臨床心理学
- 略歴
- お茶の水女子大学生活科学部人間生活学科発達臨床学講座卒業。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程単位取得退学。相模女子大学、青山学院女子短期大学などで非常勤講師を務め、精神科クリニックや小児科にて臨床心理士として勤務。現在は東京未来大学で教育・研究に携わっている。
- 研究・実践領域
- 子育て支援、保育カウンセリング、発達支援、スポーツ・教育場面における心理的支援など。
- 主な著書・関連書籍
- 『ジュニアスポーツコーチに知っておいてほしいこと』(共編著)、『スポーツで生き生き子育て&親育ち』(共編著)、『保育と子ども家庭支援論』(共著)ほか。
LECTURES IN THE BALLET SAFE TEACHER PROGRAM
井梅先生から学ぶ、
心の安全を支える3つの講義
子ども理解と指導者自身の在り方、両方を見つめるための講義です。
指導者の自己理解とメンタルケア
指導者自身の感情の癖やストレス反応を理解し、安定した状態で生徒と向き合うための視点を学びます。
子どもの発達心理学
年齢や発達段階によって異なる認知・感情・行動の特徴を理解し、その子に合った関わり方を考えます。
発達障害への理解と支援
発達特性への理解を深め、決めつけや排除ではなく、安心して芸術体験へ参加できる環境づくりを学びます。
KNOWLEDGE AS CARE
知識という名の「愛」が、
安全なスタジオをつくる
「愛を持って厳しく接する」という言葉があります。しかし、本当の愛とは、ただ自分の情熱を相手にぶつけることではなく、相手を正しく理解しようと努めることではないでしょうか。
心理学を学ぶことは、生徒という一人の人間を、その背景や発達のプロセスも含めて丸ごと受け止める準備をすることです。
井梅先生の穏やかな講義を通して得られる知見は、指導者の中に「心の安全基地」としての在り方を育ててくれます。先生が安定していれば、生徒は失敗を恐れずに挑戦し、自分の表現を少しずつ広げていけます。
心を守ることは、才能を守ること。
理解しようとする姿勢そのものが、安全な指導です。
心の安全が守られたスタジオには、技術だけでなく、信頼、安心、自己肯定感、そして豊かな表現が育っていきます。そうした環境を増やしていくことが、日本のバレエ界をもっと優しく、もっと健やかな場所へ変えていくはずです。
LEARN THE FOUNDATIONS OF PSYCHOLOGICAL SAFETY
「心の安全」を、
現場の実践へ
怒鳴らない、傷つけない、決めつけない。その先にある、理解して育てる指導へ。
BALLET SAFE TEACHER SCHOOL
バレエ安全指導者養成スクール
公認心理師、整形外科医、婦人科医、理学療法士、管理栄養士など、各分野の専門家とともに、身体・心・生活を守るための判断力を横断的に学びます。
- 心理的安全性と指導者の在り方
- 子どもの発達理解
- 特性理解と支援の視点
- ハラスメント予防
- 専門家へつなぐ判断軸
PROFILE SOURCES
プロフィール確認に使用した公開情報
本記事のプロフィールは、現在確認できる東京未来大学およびセーフダンスアソシエーション等の公開情報をもとに整理しています。公認心理師・臨床心理士は心の支援に関わる専門職です。現場で気になる心身のサインや支援の必要性を感じた場合は、抱え込まず、適切な専門家へつなぐ視点を大切にしてください。