みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。

冬季オリンピックの熱戦を、皆さんはご覧になられたでしょうか。
今回は、連日熱戦が繰り広げられていたイタリアでの冬季五輪で私たちが感じたことを共有したいと思います。

世界最高峰の舞台において、国の代表として競技に挑む選手たちの背中には、私たちの想像を絶するほどの責任と重圧がのしかかっているはずです。
しかし、スクリーン越しに伝わってくるのは、そうした極限のプレッシャー以上に、選手たちが「人と人とのつながり」を心から大切にしている姿でした。

ライバルでありながらも、演技が終われば互いの健闘を讃え合い、喜びや悔しさを共有する。
その光景はただただ美しく、どこまでも爽やかで、正直なところ羨ましさすら覚えてしまうほどでした。

なぜ、彼らはあのように心の底から称え合うことができるのでしょうか。
それはきっと、同じ競技に青春を捧げ、互いがどれほどの血のにじむような努力を重ねてきたかを深く理解し合っているからでしょう。
長い年月をかけて切磋琢磨する中で、それぞれの個性や背景を知り尽くしているからこそ、単なる競争相手を超えた深い絆が生まれるのだと思います。

そして何より素晴らしいのは、そうして互いをリスペクトし、讃え合うことを自然に受け入れ、否定しない文化がそこにあることです。
共に高みを目指す仲間として認め合う、その精神的な土台が築かれていることが何よりも重要だと感じます。

また、今回のオリンピックを見ていて強く感じたのは、周囲の「大人たち」の在り方についてです。
この大舞台は、10代の子どもたちや若いアスリートたちの瑞々しいエネルギーによって形作られています。
だからこそ、彼らを導き、環境を整える周囲の大人たちがどのような振る舞いを見せるのかが、かつてなく明確に可視化されていたように思います。

その中で、フィギュアスケートのアリサ・リュウ選手の物事に向き合う姿勢や言葉には、胸を打たれるものがありました。
純粋にスケートを楽しむ心や、周囲への感謝を忘れない明るい姿には、私たちが本来目指すべき「未来の世界」がすでにそこにあることを実感させてくれ、とても大きな勇気をもらいました。

当然ながら、私たちが目にしているのはスクリーン越しに切り取られた世界であり、それが氷山の一角に過ぎないことは承知しています。
その背後には、メディアには映らない葛藤や、決して綺麗事だけでは済まされない現実もあることでしょう。
それでもやはり、あの舞台で互いを心から讃え合う姿には、私たちが目指すべき未来への確かな希望を見出さずにはいられなかったのです。

翻って、私たちが日々向き合っているバレエの世界について深く考えてみたいと思います。

フィギュアスケートとバレエの最も大きな違いは、バレエが決して「採点競技ではない」ということです。
明確な点数によって勝敗がつくスポーツとは異なり、バレエはどこまでも純粋な「芸術」として存在しています。

しかし昨今、コンクールの隆盛によってバレエにおける競技性が高まっているのは事実です。
低年齢化も進み、「まだ小学生なのに、これほど高度なバリエーションを、これだけの表現力で踊りこなせるのか」と驚かされるような才能に出会うことも少なくありません。子どもたちの技術の進歩には、確かに目を見張るものがあります。

ただ、そうした完成された素晴らしい踊りを目の当たりにしたとき、少し穿った見方かもしれませんが、「ここに至るまでに、一体どれほどの犠牲があったのだろうか」と胸が痛む瞬間があることも否定できません。

それは、過酷な練習による身体への無理な負担や、プレッシャーによる心への影響といった、その子自身が抱える問題への懸念です。
そして同時に、過度な競争の中で自信を失い、その舞台に到達し得ずにバレエから離れてしまった数多くの「見えない子どもたち」の存在への思いでもあります。

そこにある最も根本的な問いは、「彼女たちが本当に望んで行なっているのか?」ということ。

明確な点数や絶対的な正解がない芸術の世界だからこそ、本来求められるべきは他者との比較や過酷な競争ではありません。
自分自身の内面と向き合って表現を深め、仲間と共に助け合いながらひとつの舞台を創り上げる喜びこそが、バレエの真髄ではないでしょうか。

だからこそ、オリンピックの選手たちが見せてくれたような、互いの血のにじむような努力を無条件に認め、心から讃え合える環境づくりが、今のバレエの世界にこそ不可欠なはずです。
そして、その環境や空気を作るのは、子どもたちではなく、私たち大人の側です。

日々の厳しいレッスンの先にあるのは、決して順位や評価に対するプレッシャーではなく、子どもたちの心からの笑顔であってほしい。
そして、彼女たちがやがて成長し、それぞれの人生の道を歩み始めたとき、「あのとき、バレエと出会って本当によかった」「バレエのおかげで豊かな心を育めた」と心から思えるような、明るい未来を手渡したい。

それこそが、バレエという芸術を愛し、次世代を育む私たちの、決して変わることのない切なる願いなのです。

バレエ安全指導者資格®︎ 事務局