みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。
今回は、本日初日を終えました『踊れるからだをつくろう!〜バレエと食・身体を考えるフォーラム〜』についてお話していきたいと思います。
今回のテーマは「摂食障害」
SDAメディカルチームに所属する専門医による講義、そして現在デンマーク王立バレエ団でご活躍中の川添智香さんとの対談が行われました。
痩せていること=美しいこと。
日本ではこの価値観が広く浸透しています。そして、それはバレエの世界においても例外ではありません。思春期の子どもたちが多く通うバレエ教室でも、細くあることが一つの「理想」として扱われることが今もなお少なくありません。
細いことは、必ずしも「踊れるからだ」ではありません。むしろ無理な制限や過剰な痩身は、エネルギー不足による集中力の低下や怪我のリスクを高め、パフォーマンスを著しく損なう原因にもなりえます。さらに一度摂食障害を発症すると、長期にわたる身体的・精神的な影響を受けることもあります。
川添さんの対談の中では、海外のバレエ環境との違いも語られました。たとえば、所属されていますデンマークのバレエ団では、ダンサー一人ひとりの健康が重視され、「細い」ことでダンサーの心身の健康について心配をされることはあっても、それによって肯定的な評価はされないこと。一方、日本では今もなお数値的な体重や見た目での評価が先行する傾向があり、SNSやYouTubeでの発信において、その傾向がはっきりと現れています。その背景には、やはり人間の身体、特に子どもや女性の身体に対しての知識の無さが深く関わっていると思います。
バレエは芸術であると同時に、身体を通じた表現です。だからこそ、心と身体が健やかであってこそ、その美しさや豊かさがにじみ出るものです。
「体型を維持するために食事を我慢する」のではなく、「踊るために、そして表現をするために食事を楽しむ」
食べるという体験を通じて、ダンサーとしてより豊かな表現にもつながるという川添さんのお話は、健康と芸術性の両立に欠かせない、とても大切な視点だと感じました。
摂食障害は、本人が自覚しづらく、周囲も気づきにくいという難しさがあります。見た目だけではわからないことが多く、指導者や保護者の何気ない一言が、本人の心に深く突き刺さることもあります。
そして、私たちバレエの業界で活動する大人、夢を与える側のプロフェッショナルなダンサーや指導者の方々は、小学生のうちから食事を我慢しなければならないという状況が普通ではないことを自覚しなければならないと思います。必要最低限の食事ですら罪悪感を覚え、食べないという選択をさせてしまっているその状況に、もっと真剣に目を向けるべきです。
だからこそ、まずは大人が正しい知識を持つこと。子どもたちの身体に触れ、日々接する私たちが、「バレエの美しさとはなにか」「何を美しいと感じるか」、また指導者が「どんな言葉をかけるか」にもっと敏感でありたいのです。
次回8月13日のフォーラムでは、スポーツ栄養士であり、バレエ安全指導者資格の講師も務める伊藤あゆみ先生による「踊る身体をつくるための栄養と食事」をテーマとした講義、そして摂食障害を体験され、現在も新体操の指導者として、ご自身もダンサー・振付家としてもご活躍中の杉本音音先生によるトーク&対談が予定されています。
このフォーラムは、単なる「知識の提供」ではありません。バレエに関わる全ての人たちが、心から健やかに踊るための「出発点」としての場です。
大切な人を守るために。
そして、自分自身を大切にするために。
どうか一人でも多くの方に、足を運んでいただけることを願っています。
バレエ安全指導者資格®︎ 事務局
『踊れるからだをつくろう!』〜バレエと食・身体を考えるフォーラム〜
https://safedance.jp/ws/forum_2025_78/
