世界で一番安全な バレエスタジオに向けて。 講師紹介|整形外科医 井上留美子先生
バレエ安全指導者資格®︎では、指導者が医学的な診断を行うためではなく、身体の変化に気づき、安全に負荷を調整し、必要なときに医療へつなげられる判断力を育てるために「整形外科学」を大切な学びの柱としています。その学びを長年支えてくださっているのが、整形外科医の井上留美子先生です。
BALLET SAFE TEACHER INSTRUCTOR
井上 留美子 先生 RUMIKO INOUE, MD
- 医療法人社団成東会 松浦整形外科内科 院長
- 聖マリアンナ医科大学 スポーツ医学 非常勤講師
- 整形外科ヨガ事務局 代表
整形外科診療の現場に立ちながら、スポーツ医学、予防医学、運動器の機能、そしてヨガを通した身体活動の安全を横断して取り組まれている井上先生。聖マリアンナ医科大学の公式プロフィールでは、専門・担当分野として「ヨガのスポーツ医学、他」と紹介されています。
WHY ORTHOPEDICS IN BALLET EDUCATION?
なぜ、バレエ指導者が
「整形外科学」を学ぶのでしょうか
みなさま、こんにちは。セーフダンスアソシエーションです。
今回は、バレエ安全指導者資格®︎で整形外科学の講義を担当してくださっている、井上留美子先生をご紹介します。
バレエは、身体そのものを表現媒体とする芸術です。
足関節、膝、股関節、脊柱、肩。日々のレッスンでは、全身の関節や筋、腱、靱帯に繰り返し負荷がかかります。だからこそ、技術を教える指導者にも「この痛みをそのまま続けてよいのか」「負荷を下げるべきか」「医療につなぐべきか」という判断が求められる場面があります。
医学を学ぶ目的は、
先生が医師になるためではありません。
診断や治療は医療専門職の領域です。
指導者に必要なのは、身体に起きていることを少しでも正しく理解し、危険なサインを見逃さず、レッスンの負荷を調整し、必要な専門家へつなげられること。
そのための「判断の土台」として、私たちは整形外科学を学びます。
CONNECTING MEDICINE AND MOVEMENT
井上先生がつなぐ、
「医学」と「実際に動く人の身体」
井上先生の大きな特徴は、整形外科の診療だけでなく、運動・スポーツ・ヨガという「実際に身体を動かす現場」と長く関わってこられたことです。
公開プロフィールによると、2012年から予防医学としてヨガに着目し、ヨガインストラクターに向けて整形外科理論に基づく運動器の指導を開始。2017年には「整形外科ヨガ事務局」を設立し、現在も代表を務めています。
聖マリアンナ医科大学では、スポーツ医学の非常勤講師として在籍し、公式プロフィールの専門・担当分野には「ヨガのスポーツ医学、他」と記載されています。
整形外科学の知識だけでなく、「動く人へどう伝えるか」「安全に運動を続けるには何を見るか」という視点を持つ専門家から学ぶことで、医学用語を暗記するだけではない、バレエ現場で使える判断へつなげることができます。
「身体を知ること」と、
「その人が安全に動き続けられるようにすること」をつなぐ。
CURRENT PROFILE
井上留美子先生
プロフィール
2026年8月時点で確認できる公開情報をもとに整理しています。
- 現在の主な役職
- 医療法人社団成東会 松浦整形外科内科 院長/聖マリアンナ医科大学 スポーツ医学 非常勤講師/整形外科ヨガ事務局 代表
- 専門・担当分野
- 整形外科、スポーツ医学、運動器、ヨガのスポーツ医学ほか
- 主な資格
- 日本専門医機構 整形外科専門医、日本整形外科学会 認定スポーツ医・認定運動器リハビリテーション医、日本スポーツ協会 公認スポーツ医、日本医師会 認定健康スポーツ医
- 主な所属
- 日本整形外科学会、日本臨床スポーツ医学会、日本骨粗鬆症学会、日本転倒予防学会ほか
- 整形外科ヨガ
- 2012年より予防医学としてヨガに着目し、運動器の知識をヨガ指導へ伝える活動を開始。2017年に整形外科ヨガ事務局を設立。
LECTURES IN THE BALLET SAFE TEACHER PROGRAM
井上先生から学ぶ、
整形外科学の6つのテーマ
「怪我の名前を覚える」だけでなく、身体の構造・機能・回復・年代差をつなげて理解します。
外傷と障害、怪我の初期対応
急性の外傷と、繰り返す負荷による障害を区別しながら、現場で何を確認し、どの段階で医療へつなぐかを学びます。
脊柱&体幹
脊柱の構造と体幹機能を理解し、姿勢や動作を「見た目」だけで判断しないための基礎を身につけます。
腰痛と体幹モーターコントロール/フィードフォワード機構
腰痛を一つの原因に決めつけず、運動制御や体幹機能の視点から、動作と症状の関係を考えます。
ジュニア期・シニア期・女性の障害
年齢やライフステージによって身体の条件は変わります。成長期、成人、シニア、女性それぞれの身体を同じ基準で扱わない視点を学びます。
肩関節・膝関節・股関節
バレエで大きな役割を持つ主要関節について、構造と機能、動作時に起こりやすい問題を整理します。
足関節
ポワント、ルルベ、着地などと深く関わる足関節を、可動性・安定性・負荷の観点から理解します。
FROM KNOWLEDGE TO JUDGMENT
講義で変わるのは、
「知識量」よりも身体を見る視点
井上先生の講義で学ぶのは、解剖学用語の暗記だけではありません。
「この痛みは、どういう経過をたどっているのか」「どの動きで症状が変わるのか」「その年代ではどんな身体変化を考えるべきか」「指導を続けてよいのか、止めるのか」。
こうした問いを持つことで、レッスンを見る景色が変わります。
指導者は診断をしません。「この怪我だ」と決めつけるのではなく、痛みの場所・経過・動作との関係を確認し、負荷を調整し、必要な場合に整形外科などへ相談する。その境界を理解することが、安全指導の基本です。
医学を知ることで、
「教えられること」と「専門家へ渡すこと」の境界が見えてくる。
それは、先生がすべてを背負わないための学びでもあります。
BOOKS & PUBLIC EDUCATION
専門知識を、
一般の方にも届く言葉へ
2024年には、運動器と健康に関する書籍も相次いで刊行されています。
『一生スタスタ歩ける体になる整形外科ヨガ』
井上留美子先生 著。整形外科の視点をもとに、日常の身体づくりへつなげる一冊として刊行されました。
『整形外科医が教える 一生歩ける!筋活・骨活』
聖マリアンナ医科大学スポーツ医学の藤谷博人先生との編著。筋肉と骨を健康に保つ考え方を紹介しています。
TOWARD THE SAFEST BALLET STUDIO
世界で一番安全なバレエスタジオを、
一つずつ増やしていく
私たちが「世界で一番安全なバレエスタジオ」という言葉に込めているのは、怪我が一件も起こらない場所という意味ではありません。
身体を使う以上、痛みや怪我のリスクを完全にゼロにすることはできません。
けれど、痛みを言える。異変に気づける。無理を続けない。必要なときに医療へつながる。そして指導者が「分からないことを、分からないまま進めない」。
そうした一つひとつの判断が、スタジオの安全文化をつくります。
情熱に、医学という視点を。
経験に、根拠を。
指導に、専門家とつながる力を。
井上先生のような専門家が、バレエの現場へ知識を開いてくださることは、私たちにとって大きな財産です。
その知識を講義の中だけに留めず、一人ひとりの先生が日々のレッスンへ持ち帰り、生徒の身体を守る判断へ変えていく。
その積み重ねによって、安全なスタジオを日本中に増やしていきたいと考えています。
LEARN WITH MEDICAL PROFESSIONALS
専門家の視点を、
日々のバレエ指導へ
医学を学ぶ目的は診断することではなく、より安全に判断し、必要な専門家へつなげられる指導者になることです。
BALLET SAFE TEACHER SCHOOL
バレエ安全指導者養成スクール
整形外科、婦人科、心理、栄養など各領域の専門家から学び、子どもから大人まで、安全なバレエ指導に必要な判断力を育てます。
- 痛み・怪我の初期対応
- 成長期の身体への配慮
- 主要関節と運動器の理解
- 心理・栄養・女性の健康
- 専門家へ紹介する基準
PROFILE SOURCES
プロフィール確認に使用した公開情報
本記事のプロフィールは、2026年8月時点で確認できる聖マリアンナ医科大学、整形外科ヨガ、出版社等の公開情報をもとに整理しています。資格・所属学会等は公開プロフィールに記載のある主要項目を掲載しています。また、担当講義の内容説明は、バレエ安全指導者資格®︎での講義テーマをもとに、指導者向けに要約したものです。