このたび、バレエ安全指導者資格®︎では、新たに川竹麻耶先生を講師としてお迎えいたしました。

川竹先生は、日本とフランスの両国で振付家・ダンサー・教師としてご活躍されており、バレエからコンテンポラリーダンス、さらにはバロックダンスにまで広がる深い知識と実践経験をお持ちです。過去から現在に至る舞踊の流れを体現してきた、たいへん貴重な存在です。

講義タイトルは【聴く身体、話す動き】
バレエやダンスが「身体言語」と呼ばれる一方で、実際の指導は言語を介して行われます。そのため、言葉の正しい意味や背景を知ることは、指導や表現の精度を高めるうえで欠かせません。言葉を理解することは、すなわち表現そのものをより豊かにすることにつながります。

今回の講義では、フランス語が持つ独自の表現力や背景を学び直すことで、バレエに宿る精神を深く理解し、日々のレッスンや指導のあり方を新しい視点から見つめ直していきます。川竹先生ご自身の経験が、日本とフランスをつなぐ橋渡しとなり、受講者にとって大きな学びの機会となることでしょう。

 川竹麻耶先生よりメッセージ

① 今回の資格への思い
バレエという芸術は、身体の極限の美しさを追求する一方で、繊細で壊れやすい人間の精神と身体そのものと常に向き合うものでもあります。
私はこれまで、フランスと日本の両方の文化の中で踊り、教え、創作を続けるなかで、技術の習得だけでなく、身体の理解と尊重が芸術表現の根幹にあると感じてきました。
「安全に踊ること」は、表現の自由を制限することではなく、むしろその自由を支える基盤です。
この資格に関わることで、ダンサー一人ひとりが自分の身体を深く理解し、より持続的に踊り続けられる環境を広げていきたいと思っています。

② 担当する講座の内容について
私が担当する講座では、バレエの動きに宿るフランス語の意味と文化的背景に焦点をあてます。
用語一つひとつが、ただのテクニックの呼称ではなく、その背後にある歴史的、社会的背景や、身体と空間、音楽、呼吸の関係性を言語化したものです。
言葉を正しく理解し、発音し、そのニュアンスを身体で感じ取ることで、動きに自然な流れと詩的な深みが生まれます。
また、フランスと日本、異なる美意識のあいだにある「間(ま)」や「重心感覚」の違いについても、実際の動きを通して探っていきます。
受講者には、文化・言語・身体をつなぐ感覚を養っていただくことを目指します。

③ 参加される皆さんへ
学びは、知識の吸収ではなく、自分自身の身体を再発見する旅だと考えています。
これまでの経験や癖、習慣を一度手放し、素直に“聴く身体”でフランス語のリズムや響きを感じ取ってください。
この講座では、完璧な発音や正確な模倣よりも、気づくこと・感じることを大切にします。
互いに学び合い、支え合いながら、踊ることの本質をもう一度見つめ直す時間にしましょう。
そしてこの学びの場が、交流の場であり、ケアとコミュニケーションのスペースとなるよう願っています。
踊ることを通じて、言葉や文化、身体を超えてつながり合う、そんな時間を共に作っていきましょう。

【バレエ安全指導者資格 プロフェッショナル講座 講師】

川竹麻耶先生プロフィール

日仏ダンサー、振付家。
谷桃子バレエ団研究所に所属。フランスでコンテンポラリーダンスとバロックダンスを学び、フランス国立ダンスセンター(CND)にてバレエ教師国家資格を取得。
東京新国立劇場では、オペラ『夜泣き驚』や『ウィリアム・テル』にてナタリー・ヴァン・パリスの振付助手を務める。
自身のプロジェクト FRICTIONS を主宰。バロックダンスとコンテンポラリーダンスの思考を交差させ、身体を「感覚的かつ政治的な素材」として、現代社会の摩擦に反応する表現を探求している。
代表作に『CONTRETEMPS ou le conditionnel présent』(2023)、『AYA + TOLI – topologie de la maladresse』(2025/AEROWAVES EUROPEプレセレクション)など。

ウェブサイト:https://www.mayakawatakepinon.com/