このたび、現代音楽作曲家の東先生による「音楽史」の講義を新たに開設いたしました。
東先生にはこれまでも音楽理論の講義をご担当いただき、作曲家としての視点から、バレエ音楽の解説やダンサーのパフォーマンス分析を行っていただきました。
その確かな知識と独自の切り口から生まれる学びは、受講者の皆さまに新たな気づきを与えてきました。
本資格ではこれまで、「バレエ史」「服飾史」といった講義を通じ、バレエという芸術を単一の視点にとどめず、多角的に捉える姿勢を重視してきました。
今回新たに「音楽史」を導入できることを、心より嬉しく思っております。
そして、この講義は 来年2月、3月に開催されます第8期プロフェッショナルコースより新設いたします。
この講義が目指すのは、単なる出来事や年代をなぞる歴史ではありません。
現代音楽が歩んできた歴史とはすなわち「音楽とは何か」「芸術とは何か」という問いそのものであり、その背景を東先生に解説いただきながら、「クラシック」という名を冠するクラシックバレエが、どのように変化し、そして何を変えずに守ってきたのかを考える時間を、皆さんと共有したいと思います。
ベーシック講座のバレエ史の講義において解説がございますが、20世紀初頭に登場したバレエリュスが、今日に至るまでバレエ界に与えた広がりと影響は計り知れません。
私たちはその影響のただ中にありつつも、日本のバレエがこれから先、どのような方向へ進んでいけるのか、その可能性に目を向けることも大切だと考えています。
音楽とバレエは切り離せない関係にあります。
その背景を理解することは、踊ることや教えることの質を高めるだけでなく、生徒や地域社会と文化を分かち合う上でも欠かせないものです。
私たち指導者は、日々のレッスンで生徒一人ひとりの成長を支えると同時に、長い時間をかけて地域に文化を根付かせていく存在です。
この音楽史の講義が、その歩みをより豊かにし、「何を残し、何を未来に渡していくのか」を考える契機となることを願っています。

【バレエ安全指導者資格 プロフェッショナル講座 実践講習 講師】
東俊介先生プロフィール
1983年生まれ、神奈川県逗子市出身。
7歳からピアノ、17歳から作曲を始める。
2003年に東京音楽大学作曲科へ入学し、同大学卒業後に渡独。ケルン音楽大学の大学院課程、カールスルーエ音楽大学ゾリステンクラッセ課程(州立演奏家資格)を共に最優秀の成績で修了。
アハトブリュッケン音楽祭やヴィッテン現代室内音楽祭など様々な音楽祭で曲が演奏され、ICC国際作曲コンクール<Piano2006>第二位、第11回東京国際室内楽作曲コンクール入選。
第84回日本音楽コンクール作曲部門第一位、合わせて三善賞、明治安田賞受賞。これまでに作曲を池辺晋一郎、遠藤雅夫、Markus Hechtle、Wolfgang Rihmの各氏に師事。
近年はダンサーや画家との共同作業を通して「音と視覚的情報」に注目し、空間に焦点をあて、音と動きを用いた創作活動に力を入れており、2019年には、『経験と体験の交差』を通じて芸術における分野と地域の枠組みん拡大を目的として発足したアートティスト・コレクティブ Crossings を作曲家/森紀明、美術家/山田サトシ、映像作家/中村光男らと立ち上げる。