世界で一番安全な バレエスタジオに向けて。 講師紹介|八木原麻由先生
身体を知ることは、生徒の可能性を狭めるためではなく、その子の個性を守り、伸ばすための第一歩です。バレエ安全指導者資格®︎で安全講習・解剖学を担当してくださっているのが、理学療法士の八木原麻由先生。臨床の視点と、踊り手として培ってきた感覚の両方から、現場に生きる学びを届けてくださっています。
BALLET SAFE TEACHER INSTRUCTOR
八木原 麻由 先生 MAYU YAGIHARA
- 理学療法士
- お茶の水女子大学 舞踊教育学コースでの学び
- バレエ経験と臨床経験をつなぐ身体の専門家
5歳よりバレエを始め、コンクール経験を重ねながら、舞踊教育・解剖学・運動学・動作学を学び、その後理学療法士として臨床に従事。現在も集中治療室のリハビリテーションに関わりつつ、理学療法士の視点からバレエに関わる知識を発信し続けている八木原先生。感覚だけに頼らない、けれど感覚を否定しない、安全で実践的な学びを届けてくださいます。
WHY ANATOMY MATTERS NOW
身体を「知る」ことは、
才能を「愛する」こと
みなさま、こんにちは。セーフダンスアソシエーションです。
『世界で一番安全なバレエスタジオを目指して』。講師紹介シリーズの第4回は、安全講習・解剖学を担当してくださっている八木原麻由先生をご紹介します。
見えない感覚や表現を大切にするバレエにおいて、かつて「解剖学」は、どこか別世界の学問のように見られることもありました。
しかし今、多くの指導者が身体の仕組みを学ぼうとしています。なぜなら、感覚だけでは伝えきれないことがあり、また日本のバレエ界には、共通の教師資格や再現性ある指導の基準がまだ十分に根づいていないからです。
解剖学は、生徒の個性を狭めるための知識ではなく、
その子の「今」を守り、「未来」を広げるための地図です。
「もっと開いて」「もっと伸ばして」と言う前に、その子の骨格や関節の特性、今の可動域、使えている筋肉と使えていない筋肉を見立てることができるかどうか。
その違いは、指導の質だけでなく、安全性そのものに直結します。
THE VALUE OF A PROFESSIONAL VIEW
理学療法士の「眼差し」を、
バレエ指導へ借りるということ
本資格の解剖学・安全講習で大切にしているのは、筋肉や骨の名前を暗記することだけではありません。
私たちが本当に学びたいのは、理学療法士や医師など、身体の専門家が「どのような視点で一人の人間を見ているのか」という、その姿勢そのものです。
八木原先生は、病院のリハビリテーションの現場で多くの身体と向き合いながら、同時にバレエという繊細で高度な身体芸術にも深く関わってこられました。
理学療法士は、痛みや障害から回復する身体だけでなく、姿勢、関節の動き、筋の働き、日常動作と運動のつながりを多角的に見ます。その視点は、怪我の予防だけでなく、「なぜこの動きがうまくいかないのか」を冷静に整理する大きな助けになります。
専門家の知識を借りることは、
バレエの感性を失うことではありません。
感性を、より安全に、より深く支えることです。
CURRENT PROFILE
八木原麻由先生
プロフィール
現在確認できる公開プロフィールをもとに、学びの背景と活動の特徴が伝わる形で整理しています。
- 資格
- 理学療法士
- バレエ歴
- 5歳よりバレエを始め、6歳より樋笠バレエ研究所にて樋笠よ志江氏に師事。1997年以降、国内コンクールに参加し、全日本バレエコンクール3位・1位、ザ・バレコン2位、四国コンクール4位などの受賞歴を持つ。
- 大学での学び
- 2007年、お茶の水女子大学 芸術表現・行動学科 舞踊教育学コースに入学。モダンダンスを中心に舞踊・スポーツ・教育論を学び、水村真由美氏に師事。解剖学、運動学、動作学を専攻し、高等学校教諭一種免許状(保健体育)を取得。
- 理学療法士としての歩み
- 2011年に大学卒業後、理学療法士養成課程へ進学。2014年に理学療法士国家資格を取得し、都内の二次救急病院に勤務。現在も集中治療室(ICU)のリハビリテーションに関わりつつ、理学療法士の視点からバレエに関する知識を発信している。
- バレエ教育での活動
- バレエ安全指導者資格®︎講師、バレエTV「理学療法士まゆさん★動きの専門家によるバレエ講座」などで、ダンサーや指導者へ向けて身体の見方を伝えている。
FEELING × THEORY
「理論は分かるけれど、現場につながらない」
を超えていく講義
解剖学を学ぶとき、多くの指導者が壁として感じるのが、「言葉としては理解できるが、踊りにどう結びつくのか分からない」という点です。
八木原先生の講義が支持される大きな理由の一つは、先生ご自身がバレエを深く学び、コンクールにも挑んできた「踊り手」であることです。
アン・ドゥオールのとき、股関節の中では何が起きているのか。足部や膝の向きがずれると、どこへ負担が集まりやすいのか。骨盤の位置が変わると、上体や脚の見え方はどう変わるのか。
八木原先生は、踊る身体で感じてきた「感覚」を、理学療法士としての「言語」へ翻訳し、現場へ落とし込んでくださいます。
感覚を否定せず、理論で補強する。
それが、現場に生きる解剖学です。
バレエTVでは「理学療法士まゆさん★動きの専門家によるバレエ講座」として、足部、膝、股関節、姿勢などのテーマを、ダンサー・指導者が現場で使える言葉で解説されています。
LECTURES IN THE BALLET SAFE TEACHER PROGRAM
八木原先生から学ぶ、
安全講習・解剖学の2つの柱
名前を覚える学問としてではなく、評価と判断のための実践知として学びます。
姿勢評価と関節の動きの整理
生徒の立ち方・身体の配列・関節の向きや可動域を観察し、「どこが整っていて、どこに無理がかかっているか」を見立てるための基礎を学びます。
ダンサー・指導者のための解剖学立体解説
骨・関節・筋の関係を、踊りの動きとつなげながら立体的に理解し、レッスン中の指示や修正へどう反映するかを学びます。
WHY EVIDENCE CREATES TRUST
「根拠」が、指導者の自信と
生徒の安心をつくる
現場では、「もっと膝を伸ばして」「もっと脚を開いて」といった言葉が日常的に使われます。
けれど、それが身体の構造や今の状態を無視した要求であれば、生徒を伸ばすどころか、痛みや怪我の原因になりかねません。
解剖学や姿勢評価を学ぶと、「強く言う」より前に「見る」ことが始まります。今のこの子にとって、どこまでが安全か。何を整えれば次へ進めるか。待つべきか、進めるべきか。その判断軸があることが、指導者の落ち着きと、生徒の安心を支えます。
「この子はまだできない」ではなく、
「今はここが土台で、ここから伸びる」と見られること。
それが安全な指導の出発点です。
解剖学を知ることは、生徒の個性を否定することではありません。一人ひとり異なる身体の個性を理解し、その子に合った「今の正解」を一緒に探すことです。
SCIENCE SUPPORTS ART
芸術を支える「科学」という土台
バレエは、重力から解放されようとする芸術です。けれど、その浮遊感や美しさを支えているのは、極めて緻密な身体のメカニズムです。
八木原先生の講義に触れると、人間の身体がどれほど巧みにできていて、同時にどれほど丁寧に扱われるべきものかが伝わってきます。
解剖学を知ることは、芸術を理屈だけの世界へ閉じ込めることではありません。むしろ、感覚だけでは守りきれない生徒の身体を、より確かな方法で守ることです。
科学が土台にあるからこそ、
芸術はもっと自由に、高く羽ばたける。
生徒の身体を守り、その才能を長く輝かせるために。八木原先生とともに、解剖学という羅針盤を持った新しいバレエ指導を広げていきたいと私たちは考えています。
LEARN SAFE MOVEMENT SCIENCE
解剖学を、
「生きた指導の言葉」へ
感覚だけに頼らず、感覚を生かすために。評価し、整理し、根拠を持って導ける指導者へ。
BALLET SAFE TEACHER SCHOOL
バレエ安全指導者養成スクール
理学療法士、整形外科医、婦人科医、心理職、管理栄養士など、各分野の専門家とともに、身体・心・生活を守るための判断力を横断的に学びます。
- 姿勢評価と身体の見方
- 関節の動きと可動域の理解
- 踊りとつながる解剖学
- 怪我を防ぐための観察と判断
- 専門家へつなぐ視点
PROFILE SOURCES
プロフィール確認に使用した公開情報
本記事のプロフィールは、現在確認できるセーフダンスアソシエーション、バレエTV、バレエジャポン等の公開情報をもとに整理しています。理学療法士は医療専門職であり、痛み、怪我、運動機能に関する評価や介入には専門性が伴います。指導現場で気になる症状や機能的な課題がある場合は、自己判断で抱え込まず、必要に応じて理学療法士・医師などの専門家へご相談ください。