みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。
今日は少し視点を変えて、心理的な側面から「理想のバレエ」との関わりについて考えてみたいと思います。
今回のコラムは、指導者の方だけでなく、保護者の方にもぜひお読みいただければと思います。
指導者の夢と生徒の夢
指導者として、生徒をプロに育てたい、コンクールで結果を残してほしい、世界に羽ばたいてほしい。
そんな願いを持つのは自然なことです。その思いは情熱であり、誠実さの証でもあります。
ただ一方で、先生の夢と生徒自身の夢は必ずしも重なるとは限りません。
私たち大人も経験があるように、「誰かの期待に応えよう」とする気持ちは、時に大きな重荷になります。良かれと思った励ましが、生徒の自由な選択や挑戦を妨げてしまうこともあるのです。
「もったいない」の言葉が抱えるリスク
「せっかくここまでやってきたのに」
「留学までしたのに」
こうした言葉は、愛情や応援の気持ちから出てくるものですが、受け取る側にとっては「辞めてはいけない」という縛りになってしまうことがあります。
その結果、本来は自分のためだったバレエが、いつの間にか「誰かのため」に変わってしまう。そこに生まれるのは、成長の喜びよりも、心の苦しさかもしれません。
大切なのは、周囲の人間が、その子の人生を決めるのではなく、その子自身が、自分の人生の舵を取ること。助言は大切。でも決めるのは本人であること。
情報を集め、自分で選択する力を養うことも、バレエに限らずこの世界を生き抜くためには必要な力です。その機会をぜひ奪わないように気をつけていきましょう。
バレエの価値を信じすぎること
私たち指導者は「バレエが人生を豊かにする」ことをよく知っています。
だからこそ、その価値を強く信じすぎてしまい、「バレエこそが正しい」「バレエ以外は二の次」と無意識に思い込んでしまうことがあります。
けれど実際には、生徒の人生はバレエだけでできているわけではありません。
むしろ、限られた時間だからこそ、バレエのひとときが特別で愛おしいものになるのだと思います。
指導者自身の「余白」
もうひとつ忘れてはならないのは、先生自身のことです。
もしあなたが「バレエがすべて」であると感じて息苦しくなっているなら、それは「心理的柔軟性」が失われつつあるサインかもしれません。
心理学では、心の健康は「自己と対象との距離感」によって守られるといわれます。
人生に“余白”を持つことは、指導者としての視野を広げ、生徒への関わり方をよりやさしく、しなやかに変えていく力となります。
共に考える場所
バレエ安全指導者資格®では、このように「生徒と先生の夢の重なり」や「自分自身との距離感」について、ゆっくり丁寧に考える時間を大切にしています。
バレエとの距離が近くなってしまっている方は特にわかりづらい、理解しがたいこともあるかもしれません。
でも、すぐに答えは出なくても大丈夫です。本資格での学びを通して、言語化し、整理していくことで、これまで気づかなかった視点が開けてきます。
あなたの指導が、もっとやさしく、もっとしなやかに変わるきっかけになりますように。
バレエ安全指導者資格®︎ 事務局
子どもたちの心や身体の理解を深めるためのチェックリストや記事はこちら
・バレリーナのための からだとこころの セルフチェックガイド
https://safedance.jp/bmst/selfcheckguide/
・ジュニアバレリーナと指導者のための婦人科ガイド
https://safedance.jp/gynecology/
・摂食障害の理解を深めよう
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